公共交通従事者のバリアフリー接遇・介助水準の向上を目的としてバリアフリー研修を実施しました。2018年度は首都圏と関西地域での交通サポートマネージャー研修(鉄道・バス計6回)を実施するとともに、新たに京都市交通局(地下鉄・バス)向け研修3回を実施し、合計で213名が修了しました。これまでの累計修了者数は1,361名となりました。また、研修の普及、改善を図るため障害当事者の講師などが参加する「普及推進会議」を首都圏と関西地区で開催し、講師、関係者の意見交換を行なった。さらに障害者団体が実施する当事者講師養成研修を共催し、今後の講師獲得に向けた取り組みの一環としました。また、現在研修で使用している動画教材の更新のためシナリオ作成、講義資料の作成を行ないました
一般向けには「一般利用者や学校等へのバリアフリーの啓発・普及検討意見交換会」にてご意見を頂きながら、今後の方向性等について検討した。また小学校(23件)、中学校(2件)、大学、自治体等(6件)と協力して31ケ所でバリアフリー教育プログラムを展開しました。2020年東京オリンピック、パラリンピック開催に向けた移動と交通に関して、@移動者側のニーズ調査(継続調査)、Aボランティアなど人的対応によるシームレスな移動支援実現の調査(継続調査)、Bトイレ関連等の標準案内用図記号の検討を実施した。@は2017年度に続き、首都圏在住者を対象としたウェブによるアンケートを実施し経年比較を行ないました。Aは(一財)国土技術研究センターとの共同研究として、シームレスな移動支援のための「障害の社会モデルから考える心のバリアフリー研修」用動画を作成しました。動画の作成においては障害当事者が主体の協議会を設置し、視覚障害者編、精神障害者編を作成し、自治体や大学などで試行しました。 Bは2020年東京オリンピック、パラリンピック開催に向けてわかりやすいサイン環境を目指すため、トイレ関連等の標準案内用図記号を検討し、8項目の図記号を作成、公開しましした。
@ 公共交通機関における障害者差別解消の推進に関する研究
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が施行となりました。2016年度に同法に基づいて取り組むべき対応のあり方等について交通事業者と利用者向け冊子を作成し普及を図ってきました。2018年度においては、法施行後の状況を踏まえた同冊子の改訂に向け、ウェブアンケートにより全国の差別事例、好事例の収集を行ないました。
A 公共交通機関における認知症者の対応の提案
認知症者の交通機関利用を支援する、「おでかけサポートカード」を発表し、事業者、当事者と家族、支援者等に配布しました。また交通事業者、地方運輸局の会議等でも同カード並びに「困っている人への声かけ・見守り」冊子等の資料配布を行い、研修への協力を行ないました。さらに町田市にてセミナー「高齢者が安心して電車やバスに乗れるように〜交通機関と認知症シンポジウム〜」を開催し、各地の取り組み事例紹介やパネルディスカッションに、交通事業者、支援者、当事者の方など約200名が参加した。また、昨年度に引き続き有識者等によるワーキングを開催し、次年度のプログラム等を議論しました。
B 不便さ調査
当財団のHP上で「高齢者・障害者等の公共交通機関不便さデーターベース」を運用しました。
C バリアフリー認証制度の検討 報告書
2018年3月にバリアフリー法が改正され障害者等の参画による評価等を行う会議が開催されることになり、今後障害当事者も参加する評価の重要性が増してくると考えられることから、既に法律に基づくバリアフリー認証制度を施行している事例(韓国等)を把握し、その実現性を考察するための基礎調査を実施しました。
@ 「ICT等を活用した誘導案内のあり方検討」では、有識者、専門家、国土交通省関係者による検討会を準備会も含め5回開催し、交通事業者等の最新取り組み事例の把握を行ったうえで、ウェブアクセシビリティ並びに歩行者誘導支援をバリアフリー整備ガイドラインに反映させる際の素案を取りまとめました。
A 「エスカレーターへの誘導ブロック敷設に関する方策検討」については今後、国交省で検討の予定があることから本年度の実施は見送りました。