第1回バリアフリー推進勉強会 in 関西 開催結果概要
寺社仏閣と城郭における観光バリアフリーの現状と課題
- 開催日
- 2015年9月3日(木曜日) 15:00〜17:20
- 開催場所
- 中央電気倶楽部西館513号室
- 参加者数
- 49名
- 講師
- 北法相宗音羽山清水寺 執事補 大西皓久氏
姫路城管理事務所長 石川博樹氏 - 事例紹介者
- パシフィックコンサルタンツ株式会社 技師 山本早織氏
- コーディネーター
- 近畿大学 名誉教授 三星昭宏氏
- コメンテーター
- 大阪大学未来戦略機構 第5部門未来共生イノベーター 石塚裕子氏
講演概要

世界遺産に登録され多くの参拝客や観光客が訪れる清水寺と姫路城は、文化財としての維持管理と多くの方々に参拝、観光して頂くための施設整備という、一見矛盾する課題があり様々な工夫でそれらを乗り越えて来られています。そこで、これまでのバリアフリー化に向けた取り組みと、今後の課題についてのお話をいただきました。
音羽山清水寺の大西氏からは、段差の解消、看板の設置、参拝経路のジャリの撤去及び舗装化、石畳の凸凹の一部改修、トイレを身障者用トイレに改装、車椅子で参拝される方への経路地図の配付といったこれまでの取り組みについての経緯や解説がありました。今後の課題として、現在は車いすを利用されている方への対応がメインになっており、目の不自由な方、耳の不自由な方への対策が不十分ということと、その他、お一人で参拝に来られる障がいのある方への対応、外国から来られる方への言語の対応といったソフト面の対策も必要であるとの結びでありました。
また、清水寺には、手で触って拝める「ふれ愛観音」という観音像があり、目の不自由な方にも多く参拝していただいているとご紹介がありました。

次に姫路城管理事務所長の石川氏からは、初めに姫路城大天守修理見学施設「天空の白鷺」の解説がありました。大天守の保存修理工事の実施に際しては、登閣が困難な人の見学機会の確保や関心の少ない市民の誘導を図るという基本方針を作成し登閣ルートのバリア調査を行い、その調査結果をもとにバリアの軽減として、スロープの設置、経路の補修等(路面の補修・溝の段差解消)、身障者用仮設トイレの設置、多目的トイレの設置といったハード面での取り組みと、介助スタッフの配置、アシストホイールの設置、インターネットを利用した介助情報の発信及び車いすの必要な方の事前把握、車いす来場者の減免拡大(介助者3名まで無料)といった運営面での工夫に関する取り組みの解説がありました。今後の展開として、文化財としての本質的価値を損なわない範囲でバリアフリー化に向けて可能なことを継続して実施していく。更に、現在、多くの外国の方への対策として、サイン、展示、パンフレット等を作成しているが、更新し多言語化を進めていることの説明がありました。最後に、姫路城の施設情報発信の取り組みとして作成したARアプリ『姫路城大発見』の紹介がありました。

引き続いて、パシフィックコンサルタンツの山本氏より観光バリアフリーを推進するにあたり参考となるような事例の紹介がありました。初めに、触れる展示物の事例として龍安寺の枯山水の模型、宇治上神社の構造形式の事例、参拝ルートの確保の事例として龍安寺、薬師寺、伊勢神宮の車イスアクセスルートの事例、その他の事例として壷阪寺、専修寺の階段昇降機の事例が紹介されました。まとめとして、文化財であっても、さまざまな工夫により観光バリアフリー推進の可能性は広げることが可能であると結びました。
- 当日の配布資料及び質疑応答
-
- 配布資料(清水寺について)【PDF/3.1MB】 ※配布資料の無断転載・転用等を禁止します
- 配布資料(姫路城について)【PDF/3.4MB】 ※配布資料の無断転載・転用等を禁止します
- 配布資料(事例紹介)【PDF/1.6MB】 ※配布資料の無断転載・転用等を禁止します
- 質疑応答【PDF/123KB】