バリアフリー推進勉強会

当財団では、移動円滑化に関する新しいテーマや課題について、関心のある方々と情報共有し改善の方向性を考えることを目的とした交通バリアフリーに関する勉強会を月に1回開催しています。

第23回バリアフリー推進勉強会開催結果概要

バスの正着を考える 〜バス停の構造と管理、運用など〜

開催日
2015年6月27日(木曜日) 18:30〜20:30
開催場所
主婦会館プラザエフ 8階 スイセン
参加者数
65名
講師
横浜国立大学 理事、副学長 中村文彦氏

講演概要

エコモ財団よりバスを正着(せいちゃく)させるためのバス停の構造について情報提供を行った。バス停の構造区分には、ストレート型、切込みテラス型、バスベイ型、テラス型、三角形テラス型があるが、それぞれに一長一短があり、車道・歩道の幅員や一般車の交通流などによっても正着しやすいバス停が変わる。そこで、今後のバス停における正着について考える場を設けた。

(以下、講演概要)

講師:中村さん

10年前に行った三角形切込み型における正着の調査研究では、運転手へのアンケート調査や実証実験などの結果、進入角度が8度であるとスムーズにバス停に近づけられることがわかった。しかし、この構造を路上で実現するためには物理的に難しい。また、海外の事例では、フランスのナントは路面に意図的な轍をつけ正着する方法、ストラスブールでは車体が縁石にぶつからないように縁石を加工する方法、ブラジルのクリチバでは運転手がフロントガラスに目印をつけ、路上にあるラインに合わせたりする方法により正着させる。そこで、ドイツ発祥のバスがよりやすいように開発された特殊な縁石であるカッセルカーブプラスを使い、大学構内で実証実験を行ったところ、バスの停車位置とバス停の縁石との距離は、導入前では平均40cmであったのに対し、導入後は平均12cm弱であったことから一定の効果が得られた。

第23回勉強会の様子

まとめとして、今後のバス停における正着においては、バスのスムーズな発着、車体やタイヤの損傷、発進時の合流を基本的条件として、道路平面状の位置、道路断面の工夫、カッセルカーブプラスなどの縁石の活用などが考えられる。また、道路管理者、交通管理者、交通事業者、市民などが協力していくことや、一般道路では一つの方策ではなく、バス停の構造や運転手の工夫などをセットで行っていくことも必要である。

当日の配布資料及び質疑応答