バリアフリー推進勉強会

当財団では、移動円滑化に関する新しいテーマや課題について、関心のある方々と情報共有し改善の方向性を考えることを目的とした交通バリアフリーに関する勉強会を月に1回開催しています。

第22回バリアフリー推進勉強会開催結果概要

駅をデザインする 〜わかりやすい空間と案内表示〜

開催日
2015年5月28日(木曜日) 18:00〜20:00
開催場所
TKP市ヶ谷カンファレンスセンター カンファレンスルーム3C
参加者数
45名
講師
黎デザイン総合計画研究所 代表取締役 赤瀬達三氏

講演概要

赤瀬達三氏から3つの話題として、駅のデザイン事例、国内外の駅デザイン比較、大規模駅の改善方策についてお話いただいた。

これまでに取り組んできた営団地下鉄、仙台市地下鉄、横浜駅の事例

講師:赤瀬さん

@営団地下鉄(現東京地下鉄)では、1972年当時ラチ内外に広告や案内掲示が混ざりあふれていて、利用者が必要な情報を見つけだすことが困難であった。そこで広告と案内を分離し、わが国ではじめて案内掲示のシステム化を図り、移動支援に必要な情報を整理した。A1981年から始めた仙台市地下鉄デザイン計画では、空間構成の良し悪しがわかりやすさに大きく影響することに着目し、地下にある駅舎の壁を外から見えるようする、自然光によって地下での居場所がわかるようにするなど、わかりやすさにつながる空間提案を行った。B15年の歳月をかけて2010年に完成した横浜駅コモンサイン整備では、鉄道会社ごとに案内掲示の方法が違ったり他社の案内が不足したりしていた問題を解消するため、横浜市が調整し、駅内のどこでも共通様式のサインから乗場・出口の情報をたどれるように図った。

国内外の駅デザイン比較

JR新宿駅、東京メトロ駅、東急渋谷駅などの駅では、利用者が多く混雑が激しいのに加えて、柱や壁、屋根、サインなどが視界をふさぎ、移動する先の様子がよく見えない。一方、ベルリン中央駅、ワシントン地下鉄駅、ミュンヘン地下鉄駅などでは、上から下、下から上へと移動する先の様子がよく見えて、全体構造が把握しやすいように空間デザインが工夫されている。

大規模駅の改善方策

第22回勉強会の様子

日本を代表する大規模駅では、本来、単に安全・便利であることを越えて、居心地の良さや人々が誇りに思える内容を持つことが求められる。特に空間自体のわかりやすさは重要で、見晴らしのよさが状況のわかりやすさをつくり、見通しのよさが筋道のわかりやすさをつくる。

わかりやすい案内表示の要点として、@「部分から全体へ」案内方針を転換すること、A表示はできるだけシンプルに行うこと、B小さな駅の時代に用いた名称をそのまま用いず、現在のターミナルの行動基点と座標軸の名称を再整理すること、C誰にでもわかる乗換シンボルを工夫すること、などが指摘できる。

当日の配布資料及び質疑応答