バリアフリー推進勉強会

当財団では、移動円滑化に関する新しいテーマや課題について、関心のある方々と情報共有し改善の方向性を考えることを目的とした交通バリアフリーに関するワークショップを月に1回開催しています。

第11回バリアフリー推進勉強会開催結果概要

歩行器、車いす等を使用する人の車両内の安全確保とバリアフリー化について

開催日
2014年4月30日(水曜日) 18:00〜20:10
開催場所
TKP市ヶ谷カンファレンスセンター カンファレンスルーム7D
参加者数
38名
講師
神奈川県立保健福祉大学 非常勤講師 藤井直人氏
日進医療器株式会社 商品開発室 室長 亀野敏志氏

講演概要

近年、交通バリアフリー化の進展により公共交通機関における高齢の歩行車利用者やベビーカー利用者などの車いす以外の車輪のある用具を使う利用者層が増加しています。そこで、新たな公共交通の利用者である歩行車の特徴、利用時の課題や問題点についてお話いただきました。また、対応の難しいバス車内の車椅子固定の課題、車椅子や車椅子ユーザー側での対応・対策と今後の方向性についてお話いただきました。

藤井氏からは、@歩行車の特徴、A海外における歩行車利用者の公共交通機関の利用実態、B国内における公共交通利用時の問題点等について話題提供がありました。@では、歩行車とシルバーカー(歩行補助車)の違いや、歩行車の利用状況について解説されました。Aでは、海外事例としてスウェーデンのフレックスルートでの歩行車の利用状況が紹介され、「当初、歩行車の利用は恥である」という認識があったが、克服したことで高齢者の日常生活における生活の質の改善が図られたそうです。Bでは、バスや鉄道などの公共交通利用時における問題点を、歩行車利用者の同行調査の結果から、バスは乗降時の段差、着座しているときの歩行車の置き場、鉄道は改札口の幅、トイレ利用時や着座している時の歩行車の置き場、乗降の際のスロープ板の必要性の有無などが指摘されました。また、歩行車利用者、交通事業者への教育などのソフト面の対策も必要となると結びました。

亀野氏からは、車椅子メーカーの現状とバス車内の固定について話題提供がありました。車椅子は目的と手段を基本とした個人に合わせた設計となっていること、また時代ニーズや児童用、障害対応、高齢者用、電動・手動などの市場動向区分によっても大きな違いがあることが解説されました。さらに、今後はアシスト式電動車いすの増加が見込まれているためと指摘。一方、バス車内の固定は様々な型式が提案されているがどれも一長一短があり、今後の車椅子メーカーの課題は、すべてのバス乗務員が簡単に固定箇所のわかるような車椅子の設計や工夫、多種多様な車椅子に対応した安全な固定のパターン化、搭乗者が車椅子から落ちないような工夫等が必要であると指摘しました。

なお、補足として藤井氏から、バス車両の固定における3点固定の有無、輪留めの有無、ベルトの有無などの分類による旋回や急停車の際の車椅子と搭乗者の挙動結果が示されるとともに、海外で商品化された固定装置やヘッドレスト付きの車椅子などの紹介がありました。

当日の配布資料及び質疑応答