交通環境対策事業

カーシェアリングによる環境改善効果を確認
環境改善効果、普及のための課題と方策を検討した報告書を作成

交通エコロジー・モビリティ財団(国土交通省所管の公益法人)は、わが国のカーシェアリング事業者であるシーイーブイシェアリング株式会社の会員に対するアンケート調査を実施し、入会前と比べて会員の自動車保有台数や自動車走行距離が大幅に減少し、公共交通や徒歩・自転車の利用が増加していることを確認しました。また、こうした環境負荷低減効果の期待できるカーシェアリングをわが国で普及させるための課題と方策を検討し、報告書を作成しました。

要旨

1.検討の背景と目的

自動車を複数の人で組織的に共同利用するカーシェアリングに対して、欧米では行政や公共交通事業者が積極的な支援を行い、普及が進んでいるという事例が報告されています。わが国でも近年、カーシェアリングの事業例が増えつつありますが、行政や交通事業者との協力事例は少なく、普及の速度も至って緩やかです。

その背景の一つとして、わが国ではこれまでカーシェアリングによる環境負荷低減効果の把握が十分に行われて来なかったことがあるように思われます。

そこで今般、カーシェアリングによる環境負荷低減効果を定量的に把握し、さらにその結果を踏まえ、わが国におけるカーシェアリング普及のための課題と方策について検討しました。

2.アンケートの実施概要

昨年12月、東京・神奈川でカーシェアリング事業を展開するシーイーブイシェアリング株式会社の会員に対するアンケート調査を実施しました。

  発送数 回収数 回収率
個人会員 92 52 56.5%
法人会員 63 22 34.9%
合計 155 74  
3.アンケート調査結果
(1)個人会員
  • マイカーの保有台数は入会前の32人から入会後の8人に減少しており、会員平均で比較した場合、一人あたりの保有台数は0.65台から0.15台へと0.50台(76%)も減少しています。
  • 自動車走行距離は、入会前は一人あたり9,365km/年間だったものが、入会後は2,004km/年間となっており、一人あたりの年間削減距離は7,362km/年間(削減率79%)と非常に大きいものでした。
  • 交通手段別の利用の変化を見ると、自動車利用のみ大幅に減少し、公共交通や徒歩・自転車の利用が増加しています。
(2)法人会員
  • 個人会員ほど顕著ではありませんが、入会後に自動車保有(リースを含む)や自動車走行距離の減少が見られました。
4.カーシェアリング普及のための課題

わが国では人々の自動車所有志向が根強いといわれます。加えて、カーシェアリングの認知度は低いため、事業者は会員獲得に苦戦しています。また、安価で利便性の高い駐車スペースの確保が難しいとの声も聞かれます。

一方、行政や交通事業者、一般企業に対し、カーシェアリングの社会的メリットのアピールが十分には行われて来なかったため、欧米で見られるような連携・協力・支援事例は非常に少ないのが現状です。

5.カーシェアリング普及のための方策

今般の調査でも確認されたように、カーシェアリングは自動車への過度の依存を抑制し、環境にやさしい移動手段への移行を促進する有効な施策です。都市交通計画等においてカーシェアリング推進を明確に示し、駐車場管理政策における優遇、公共交通との連携の促進などを図っていくことが必要と考えられます。

(注)本検討は、有識者、関係省庁、地方公共団体、交通事業者等からなる委員会(委員長:太田勝敏東洋大学国際地域学部教授)を設置して行いました。

お問い合わせ

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