(1)特別支援学校における交通安全教育調査
@ 調査対象 :全国の特別支援学校(知的障害領域)551校(重複障害による学校、分校及び分教室は 除く)の教頭及び生活指導主任を対象とした。
A 調査期間 :本調査における調査実施期間は2016年9月1日から10月30日の2ヶ月間とした。
B 調査方法 :郵送による質問紙調査を実施した。 C 調査回収率:本調査における調査票の総配布校数は551校、回収数430校(回収率78.0%)となった。
D 調査項目 :以下の内容を含んだ8項目とした。
・交通安全教育を主に取り扱う授業及び目標
・交通安全教育を取り扱う場合の教科
・交通安全教育の留意している点
・教材及び教具について ・交通安全教育の実施時期とその理由
・交通安全教育の実施形態
・交通安全教育実施上の連携又は協力機関
・交通安全教育実施上の課題
E 調査結果:全国の特別支援学校における交通安全教育の実施率は、96.8%と高い値を示した。しかし、交通安全教育は授業カリキュラムのような系統立て実施されているものではなく「学校行事」の時間の 一部分を使って実施していることが明らかになった(図1,2,3)。交通安全教育の教育内容では、 小学部段階で交通ルールの概念形成、中学部では自転車に関する学習、高等部では自転車に関する学 習と地域の交通環境学習へと展開されていることが明らかになった(図4,5,6)。
(2)交通安全教育システムの開発
交通安全教育システムの開発においては、第一に本校で開発した旧交通安全学習システムの評価と改良点 をおこなった。その後、これらの評価と改良点を考慮した新交通安全学習システムの構想及び開発を行なうこと にしている。
@ 旧交通安全学習システムの評価と改良点
旧交通安全学習システムは、図7のように車両用信号機、歩行者用信号機(押しボタン付き)、横断歩道、 木製車両(降車ボタン付き)で構成されている。押しボタン等は実機と似た作りであるため児童達は理解 しやすかった(図8)。一方、信号機本体はLED信号機であり視認性には優れていたが、外観の色や形において実機と は違っていたため児童達には理解することは困難であった(図9)。
校内訓練から校外訓練へと実践形式に指導が移行したとき、児童らは校内訓練で使用した信号機との外形の違い から生じる不安、交通環境の外乱の多さによる不安で横断歩道を上手く渡れることができなかった(図10,11)。
A 新交通安全学習システムの構想
新交通安全学習システムは、上記の課題を克服するものとした。実機の信号機に近いシステム、交通環境 における外乱及び危険箇所を再現できるシステムの要素を含むシステムとする。