公共空間におけるサインと照明のバリアフリー化に関する研究 (252-6)
横浜国立大学 岡嶋克典
視覚特性、色覚異常、高齢者、白内障、知能的補償システム
(研究目的) 駅構内等の公共空間におけるサインの見え方を実地調査し、それらの画像データを分析することで現状のバリアフリー度を定量的に検証するとともに、照明環境も含めた見えのシミュレーションを行い、知能的なサインデザインの改善案を生成するシステムを開発し、被験者実験で検証しながら、公共空間の設計現場で使えるバリアフリー設計支援ツールを実現することにある。
(研究成果)
初年度(H22年度)は、最初にモバイル型画像蓄積装置を開発した。フルHD動画撮影機能搭載を有するデジタルカメラにモバイルPCを組み合わせ、取得した色情報を忠実に伝送・処理するソフトウェアを作成した。次に、評価視環境データを正確に取得・蓄積し、高齢者や色覚異常者の実際の見え方を忠実にシミュレートするために精確な色再現を実現するキャリブレーション(較正)手法を、色彩工学を駆使することで確立し、カラーマネージメント液晶モニタを導入することで、モバイル型画像蓄積装置で取得した画像情報を使って実空間の正確な色再現表現が可能となった。この技術は、当研究のみならず、色彩に関連する様々な研究・用途に応用可能である。また、共同研究者と分担し、本システムを用いて関東および関西の実際の駅構内等の公共空間におけるサインの見え方を実地調査する準備を進め、その予備調査を行なった。