バリアフリー推進事業

平成22年度ECOMO交通バリアフリー研究助成対象事業 成果報告

研究助成名

ロービジョン者の都市・建築空間の移動における歩行パフォーマンスの指標化 (252-1)

研究者名

医療法人社団 済安堂 井上眼科病院 井上 賢治

キーワード

ロービジョン ICF 歩行パフォーマンス アイマークレコーダ 日常生活行動

研究内容

(研究目的)
本研究は、ロービジョン者のための移動環境づくりに関する基礎的研究として、ロービジョン者の視覚機能や歩行パフォーマンス、移動環境が日常生活行動に及ぼす影響や建築空間内で移動様態について考察するものである。
(研究手順)
ロービジョン者26名に歩行パフォーマンスおよび日常生活行動についてヒアリング調査を行った。また、ロービジョン者8名には、アイマークレコーダを用い、建築空間内の移動において、ロービジョン者の注視行動を分析した。
(研究成果)
本研究の成果を以下にまとめる。
1)都市空間における日常生活行動と歩行パフォーマンスについて

  1. 日常生活行動の実行の難しさについては、結婚式や法事などの突発的で馴染みのない場所、旅行などの長距離において難しい割合が高くなっている。また、通院や買い物の生命の保全活動においても実行困難な人が15%程度いる。
  2. 公共交通の利用頻度は歩行パフォーマンス、車の利用、公共交通機関までの徒歩時間が影響しており、公共交通の利用頻度の低い人ほど、日常生活行動のレベルが低下し、特に。健康・文化活動の増進に影響していることがわかった
  3. 一人で出歩けるロービジョン者は、視機能が低下により、歩行パフォーマンスが低下したため、外出そのものが減るのではなく、公共交通が使えないあるいは使いにくいため、日常生活行動が困難になっていることがわかった。つまり、一人で出歩けるロービジョン者にとっては、公共交通機関の利用が重要となる。

2)建築空間における歩行について

    • 遠方視による目的地の把握と周辺視による障害物回避の難しいロービジョン者は床面へ注視がシフトするため、床面を中心としたインテリア計画によって方向定位と障害物回避が可能であることが重要となる。
    • サインについて、遠方に置かれたサインによる誘導はロービジョン者に注視されない傾向があることより、サインのみに頼った誘導計画はロービジョン者には充分では無いと言える。

 

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