バリアフリー推進事業

平成21年度ECOMO交通バリアフリー研究助成対象事業 中間報告

研究助成名

バリアフリー環境の整備効果/効用シミュレーションモデル開発のための調査研究(344-4)

研究者名

日本女子大学家政学部住居学科 教授 佐藤 克志

 

研究内容

1.日本を含めたアジアの国々のBF環境の実態、事例の情報収集・整理
 日本及びアジア諸国(中国、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピンなど)におけるバリアフリー環境整備の進展状況の情報収集を行い、進展状況についてアンケート調査の設定条件とするため、公共建築物、歩行環境、公共交通ごとにそれぞれ4段階の進展レベルを設定した。

 

2.バリアフリー環境整備の効果/効用評価指標の検討
バリアフリー環境整備がどのような効用を生み出すのか、その影響関係はどう捉えるべきかについて、バリアフリー推進の建築のある5名にDEMATEL法による調査を実施した。その結果を元にバリアフリー環境整備が生活者に与える効用(本研究における効用評価指標)として、心理的移動負担の減少、身体的移動負担の減少、外出意欲、自立行動力/意欲の増加、生活満足度、まわりの人々の意識変化などを設定した。

 

3.効用連関仮説の検討、アンケート調査票の設計
2.で検討した効用評価指標の関係について図のような仮説を立て、その関係性を差ぶるためのアンケート調査票の設計を行った。
以上の変化の他に回答者属性(年齢、性別、障がい種別、障がい歴、世帯構成、仕事の有無、居住地など)による違いとの関係を明らかにする。

 

4.アンケート調査の実施、分析
3.で設計した調査票を用い障害当事者を対象とした調査を実施した(DPI日本会議に調査実施を委託)。2月26日現在データ集計・分析中であるので確定的なことは言えないが、バリアフリー整備が進められることによって身体的/心理的負担は確実に減少していること、その低減傾向はレベル2(普段よく使用する公共建築物やそこまでの歩道や公共交通に必要最低限の配慮がなされている状態)とレベル3(普段よく使用する公共建築物や商業施設などの建築物及びそこまでの歩道や公共交通に基本的な配慮(BF法の移動等円滑化基準レベル)が施されている状態)との間の低減傾向が他と比べて顕著であること、仕事等どうしても外出しなければならない際に感じる負担は自分の楽しみのために外出する時と比べてその負担感は大きいなどの傾向を読み取ることができる。

 

<今後の予定>
平成22年度には申請時の計画に従い以下の検討を行う。

 

5. システムダイナミクスモデルによる効用要因関係の再考、シミュレーションモデルの開発
アンケート調査等で得られたバリアフリー環境整備による効果/効用の程度やその関係性を元に仮説モデルを再考し、ケーススタディが可能なように入出力インターフェースの検討、整備を行う。

 

6.ケーススタディによる感度分析、モデルの改善
日本/アジアの事例をケースとして、シミュレーションを行い、アウトプットの妥当性等について検証し、必要に応じてモデルの改善を行う。

 

7.モデルの一部公開、及び適用性、有用性などについてのフォローアップ
当事者グループをはじめとして、バリアフリー環境整備を推進しようとしている人々に対する戦略ツールとしての活用を期待し、研究担当者やその他のネットワークを通じて、我が国やアジアの関係者に公開し、適用性、有用性などについてのフォローアップを実施する。

 

バリアフリー設備のご紹介

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