バリアフリー推進事業

平成20年度ECOMO交通バリアフリー研究助成 対象事業 成果報告

研究助成名

パーキングパーミット支援システムの構築(248-3)

研究者名

佐賀大学理工学部 清田勝

キーワード

身障者用駐車施設、パーキングパーミット制度、利用実態調査、アンケート調査、乗降実験、適正幅、ICタグ

研究内容

研究目的

パーキングパーミット制度は、身体障害者用駐車施設を必要とする人に利用証を交付し、利用者を明確にすることによって健常者の不正駐車を防止する取り組みである。

本研究は、佐賀県が日本ではじめて導入した罰則のないパーキングパーミット制度の問題点を明らかにすると共に、この制度を有効に機能させるための支援システムを構築するものである。

研究手順

本研究は以下の4つのパートから構成されている。

(1)身体障害者駐車施設がどのように利用されているか、どのような問題が生じているかを把握するために大型商業施設で利用実態調査を実施する。

(2)身障者用の駐車スペースを増やすことなく、利用証の交付の対象を軽い歩行障害のある人や妊産婦等にも広げたことが、車いす使用者等の駐車にどのような影響を与えているかを把握するために、重度の障害者を対象にアンケート調査を実施する。

(3)大多数の妊産婦が一般の駐車場を利用している実態を考慮すると、妊産婦や軽い歩行障害のある人に3.5m以上の広いスペースは必要ではないと考えられる。そこで、障害の程度に見合う適正幅を決めるために乗降実験を実施する。

(4)罰則のないパーキングパーミット制度では、健常者の不正駐車を十分防止できない可能性がある。県レベルの取り組みであることから、現時点で罰則を科すのはきわめて難しい。したがって、罰則に代わる方法を検討する必要がある。本研究ではパーキングパーミット用のICタグが装着され、有効期限内であれば駐車が許可され、ICタグを装着してない場合や有効期限が切れている場合には、警告ライトが点滅し、警告音が鳴るシステムを構築する。

研究成果

(1)身障者用駐車施設の利用実態調査結果

本制度が始まって3ヶ月後と2年後に実施した調査結果を表1に示す。表1から明らかなように、車いす使用者や松葉杖使用者のような重度の障害者の利用割合が24.5%から14%に減少し、軽い歩行障害者等の軽度の障害者の利用割合が44.4%から60%に増加していることがわかる。健常者の割合はほとんど変化しておらず、本制度は健常者の不正駐車を十分防止できないことが明らかになった。2年度の駐車場1(1回の屋内駐車場(5スペース))と駐車場2(1回の屋外駐車場(2ペース))の利用台数は3ヶ月後の利用台数に比べて増加しているにもかかわらず、駐車時間が大幅に短縮したために満車になる割合が減少している。しかし、駐車場2の満車率は依然として高い値を示しており、重度の障害者が駐車しようとしても6割以上は停められない状況にあり、問題は深刻である。スペース数の多い駐車場1においても、3割弱は駐車できない状況にある。軽い歩行障害者や妊産婦の割合は着実に増加しており、このままでは一人スペースを必要とする重度の障害者は駐車の機会を失うことになる。

(2)アンケート調査結果

アンケート調査の結果、車いす使用者の76%が施設を選択するに当たって、身障者用の施設が整備されているかを最も重要な要因と考えていること、大型商業施設に買い物に行くとき、「大体駐車できる」と回答した割合(46%)は「ほとんど駐車できない」及び「駐車できないことが多い」と回答した割合を足した値(54%)よりも小さくなっている。また、パーキングパーミット制度が始まって駐車しやすくなったかという問いに対して、「駐車しやすくなった」「少し駐車しやすくなった」と回答した割合はそれぞれ17%と23%で、合わせても40%である。一方、「ほとんど変わらない」、「かえって駐車しにくくなった」と回答した割合はそれぞれ20%と40%で、駐車環境の改善につながっていないことがわかる。「かえって駐車しにくくなった」と回答した14人のうち13にんは、その理由として「軽い歩行障害を持つ人や妊産婦等の利用証を持った人が増えたため」をあげている。この結果、軽度の障害者が重度の障害者の駐車を阻害しているという実態調査の結果を裏付けるものである。

(3)適正幅を決めるための乗降実験

車いす使用者4名(一人は自力歩行が可能)、松葉杖使用者1名、軽い歩行障害者3名、妊産婦2名を対象に乗降実験を行った結果、車いす使用者に3.25mの幅を、発馬図絵使用者用には全快できることを考慮して3mの幅を、軽度の障害者用(軽い歩行障害者や妊婦)には2,75mの幅を確保すれば、問題なく乗降できることが明らかになった。

(4)身体障害者用駐車施設管理システムの構築

入庫・出庫を超音波センサーで感知し、入庫した車に対してICタグを用いて駐車◆を判定する。パッシブタグを採用したことから、ドライバーまたは同乗者は車から降りて、ICタグを添付したカードをアンテナにかざすことによって駐車し書くの判定が行われる。カードをかざさない場合あういは有効期限が切れている場兄は、赤いライトが点面すると同時に警告音が鳴り、資格のない人の駐車を牽制するシステムを構築した。

 

パーキングパーミット利用証

 

身障者用駐車施設の利用実態調査結果

 

バリアフリー設備のご紹介

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