バリアフリー推進勉強会

当財団では、移動円滑化に関する新しいテーマや課題について、関心のある方々と情報共有し改善の方向性を考えることを目的とした交通バリアフリーに関する勉強会を月に1回開催しています。

第30回バリアフリー推進勉強会開催結果概要

交通機関におけるLGBTに対しての対応マナー 〜誰もが生きやすい社会のために〜

開催日
2016年4月8日(金曜日) 18:00〜20:00
開催場所
TKP市ヶ谷カンファレンスセンター カンファレンスルーム6B
参加者数
37名
講師
株式会社ミライロ 堀川 歩氏

講演概要

Section1 「LGBTに関する基礎知識」

講師:堀川さん

LGBTとは、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル)、T(トランスジェンダー)の頭文字をつなげた言葉である。しかし、これら以外にもQ(クィア・クエスチョニング)、A(Aセクシュアル)、I(インターセクシャル)など様々なセクシュアリティがある。割合としては、13人のうち1人、5〜7%である。

近年では、LGBTの取り巻く環境は大きく変わってきている。2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されるが、開催要件として性的差別の禁止事項があり、また2016年4月からは障害者差別解消法が施行されている。さらに、性自認、性指向を理由とした不当な差別的扱いを禁止する「LGBT差別禁止法」も検討され始めた。世界的には、同性婚やパートナーシップ条例は、ヨーロッパの国々を中心に制定されているが、アフリカの国々ではいまだに懲罰の対象となっている。日本では、渋谷区や世田谷区などで同性婚が認められているなど少しずつ広がっている。

一方、LGBTカップルが困っていることとして、例えば「住まい」では、共同ローンが組めないことや公営住宅への家賃補助がでないこと。「病院」では、パートナーが入院・死亡した際に親族として立ち会えないこと。「お金」では、医療保険の被扶養者に入れないことや所得税の配偶者控除が受けられないことなどがあり、まだまだ課題は多い。

LGBTにとって、最も大きな問題として、カミングアウトがある。自身がLGBTと気づく時期やカミングアウトを行う時期は、ひとそれぞれであるが、共通しているのが、カミングアウトをする相手に「理解されるかどうか不安」ということである。よって、カミングアウトを受けた時は、いつも通りに接するとともに、信頼してカミングアウトされたことに対して「話してくれてありがとう」と伝えることが重要である。ただし、本人の許可なく他言することは絶対に行ってはいけない。

Section2 「交通機関における対応マナー」

LGBTのうち、特にトランスジェンダーにとってトイレの問題は非常に大きい。心と身体の性が不一致のため、女性トイレあるいは男性トイレを使うと、周りの人からの視線などで利用できない。また多機能トイレも自身が障害者ではないため、積極的な利用ができず、約3割の人が排せつ障害を患っている。

また、社会的な理解が進んでいないため、女性専用車両の利用にも問題が発生している。

Section3 「ユニバーサルデザインの視点からLGBTを考える」

第30回勉強会の様子

LGBTに接する際、今すぐにできることとして、「言葉使いを変えていくこと」と「特別な扱いではなく、無関心でもない自然体であること」がある。もし、対応がわからなければ、勝手に判断せず、本人に教えてもらえばよいが、聞き方には注意が必要である。LGBTを含め多様な価値観を受容するためにも、まずは「知る」、変えるべきところは「変える」、留めるのではなく「拡げる」などに取組むべきであるが、発信の仕方に配慮や工夫が必要である。また、個人でも、企業でもLGBTに対して支援、賛同、応援するための「アライ(Ally)」となることができる。ユニバーサルデザインの視点からハード面やソフト面の整備を行うことで、制度や環境が変わり、LGBTにとっても生きやすい社会になる。

当日の配布資料及び質疑応答