不特定多数の人が出入りする交通施設、観光施設、スポーツ施設、商業施設等に使用される案内用図記号は、ひと目でその表現内容を理解できることから、文字による情報伝達が困難な場合や発語を必要としない人のコミュニケーションツールとしても優れた情報提供手段です。2002年日韓ワールドカップ開催を控えた90年代後半は国内的にも国際的にも標準化が遅れていた時で、国内的には日本工業標準(現日本産業標準:JIS)化がなされておらず施設ごとにバラバラにデザインされ使用されていました。国際的には国際標準化機構(ISO)によってわずか57項目が標準化されているに過ぎませんでした。
しかしながら、社会の変化により利用者のニーズが多様化し、またバリアフリーの観点からもこうした図記号の統一化と一層の充実の必要性が高まり、交通施設、観光施設、スポーツ施設、商業施設等の国内諸施設に使用される案内用図記号の標準を示すことを目的として、2001年3月「標準案内用図記号ガイドライン」を策定しました。
その後、国内的にはJIS Z 8210の制定が始まり、国際的にはISOでの登録数が増えていきました。特に、2013年9月、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が決定し、今後益々訪日外国人観光客数の増加が見込まれる状況を受け、2017年3月「標準案内用図記号ガイドライン改訂版」を策定しました。さらに、2020年3月には大会競技施設における統一した標準案内用図記号の追加と、大会後のさらなるインクルーシブな社会構築の一助となる標準を示すことを目的として「標準案内用図記号ガイドライン2020」を策定しました。
また、2020年1月から新型コロナウィルスの世界的な感染拡大を受け、日本国内でも新しい生活様式が始まり、日常生活が一変しました。そこで急遽、感染症対応に必要と思われる図記号を検討し、「標準案内用図記号ガイドライン2021」の作成に至りました。
本ガイドラインは、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団(以下「エコモ財団」)が設置した「標準案内用図記号ガイドライン2020見直しに関する委員会」(以下「委員会」)における検討結果を踏まえて策定されました。
委員会は、[ 表―1 ]に示す通り、国土交通省、東京都等行政機関、当事者団体、交通事業者、学識経験者、デザイナー等の参加を得て、2021年4月に設置され、感染症対応の図記号の検討を行いました。なお、委員会設置に先立ち、エコモ財団と公益社団法人日本サインデザイン協会(以下「SDA」)と共同で「感染症対応」の候補図案作成を進めていたことから、エコモ財団ではSDAより報告を受けた8つの候補図案について、公共交通機関での移動時に特に必要となりそうな5つの図記号に絞り込み、委員会に諮り、ISO及びJISの調査方法に準拠した理解度及び視認性試験を実施し、2021年8月に5項目の標準案内用図記号を策定し、追加するに至りました。[ 表―2参照 ]
本ガイドラインの図記号は、次の※1〜7を除き、SDA+中川憲造/NDCグラフィックスが造形しました。
※1 火災予防条例(例) ※2 一般社団法人日本レストルーム工業会 ※3 ISO7001:2017
※4 消防法に基づく告知 ※5 防災情報機構NPO法人 ※6 図記号の標準形 ※7 国際シンボルマーク
本ガイドライン改訂版に掲載されている図記号は、誰でも自由に使用することができます。また、本ガイドラインとこれら図記号のデータは、(公財)交通エコロジー・モビリティ財団のホームページ(http://www.ecomo.or.jp/)に掲載されていますのでご利用ください。ただし、これらの図記号を商標又は意匠として登録等を行うと、第三者の権利を侵害する可能性があります。ご不明な点等ございましたら下記までお問い合わせください。
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