(活動趣旨)
バリアフリーについて物理的な改善は、公共施設や公共交通機関などにみられるようになった。しかし依然バリアがある箇所については改善を図るだけの予算付けがされていないところもあり、すべて解消しているわけではない。加えて、日本における介護の概念は「自立支援」と位置付けられ、生活環境においては運動機能能力を維持するため障害物を乗り越える能力を保持し続ける努力をしなければならない。(以下介護保険法より)
介護保険法 第一章 総則
(国民の努力及び義務)
第四条 国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。
環境整備だけでなく、国民個人にも自らの健康状態を保つことが努力せよと位置付けられている。
介護保険法では地域包括ケアシステムの推進に自助互助共助公助を明記されている。上記に述べたように環境整備、国民の健康維持、自助互助における助け合いが啓発されている。
ではその思いを表現できる具体的な手段方法は、広められているかという仮説に至る。
当協会では理学療法士による介助プログラムを有している。これを以て、物理的バリアフリーを達成させるとともに、精神的なバリアフリーの実現を目的として活動を行っている。
(目的)
一般市民でも高齢者や障がいをもった方に対し、正しい技術を以て手を差し伸べる手段の習得をすることによって、どのような環境下であっても自助互助を実現できる地域を目指す。
(方法)
- らくらく介助プロジェクト講習会の実施
岩手県紫波郡矢巾町との共同開催
広報、参加者の応募は矢巾町企画財政課 企画係長 高橋雅明さまのご尽力による。
開催日時
2019 年2 月23 日 第一回13:30〜14:30 第二回15:00〜16:00
場所
矢巾町活動交流センター 「やはぱーく」 1 階プロムナード
らくらく介助講習内容
片麻痺体験キッドを使った模擬患者体験
歩行バージョン
立ち上がりバージョン
被介助者と介助者の双方の立場で体験ができることが特徴である。
矢巾町開催背景
2018 年3 月 HCIC プログラム
矢巾町ウェルネスタウンフォーラムを実施
病院で雇用(正規・非正規の両方)又は外注委託で働いている方
@ 事務職
A コンビニや院内売店の店長クラス
B 納入業者(医療機器メーカー、医療材料メーカー、及び先の卸販売業者)
C リネン業者
D 清掃業者又は清掃部門で雇用されている職員
E 給食・お弁当業者
F 守衛(ガードマン)、管理業務担当者(メンテナンス関連)
G IT・システム会社で病院を訪問する方々
H 医療用ガス取扱い業者
I 医療機器滅菌業者(外部受託業者を含む)
上記を募集対象に医療安全、感染対策、個人情報保護などの内容の講習を行った。
岩手医科大学矢巾キャンパスがあり、日中人口が1 万人増加傾向にある。
そこでウェルネスタウンである町に、精神的なバリアフリー概要をもった本プロジェクトの提案をし、町との共同開催に至った。
参加者概要
参加人数 第一回7 名 第二回13 名 合計20 名
男女比 2:18
平均年齢 64.4 歳 40 代1 名 50 代2 名 60 代14 名 70 代2 名 不明1 名
職業 主婦5 名 パート1 名 元ヘルパー1 名 保育士1 名 自営業1 名 農業2 名
民生児童委員1 名
アンケート結果 抜粋して報告
・実際に必要なので参加しようと思った。
あまりあてはまらない 10%
あてはまる 20%
よくあてはまる 20%
・期待していた内容に沿っていましたか?
あてはまる 20%
よくあてはまる 75%
・講座部分は役に立ちましたか?
あてはまる 10%
よくあてはまる 85%
フリーコメント
車椅子についても学びたい。
頭で考えるのと実際するのとではぜんぜん違うことがよくわかりました。
このような講習会があることを知りませんでした。
マスクの仕方も知れてよかった。
とてもわかりやすく体験もありでよかったです。
不自由な側にたつことで、少しコツがわかってよかったです。また機会があれば受講した
いです。
体験できてよくわかりました。
必要になるときのため役立てます。
歩けない人が介護で助けてあげるといいということがわかりました。
たいへん参考になりました。体重のかけ方が特によかった。
とても勉強になりました。わかっているようでも全然知らなかったことがずいぶんあると認識できました。
実技指導がありよかったです。あっという間に終わりました。もう少し時間を取ってくださってもいいかな。
杖の使い方、理にかなった説明で納得?すべて勉強になりました。また参加したいです。
足の不自由な方の介護のやり方やイスから立ち上がる時のやり方など、初めて知り役立つと思いました。まだまだもっと知りたいのでこういう講習会をやってほしい。
体験できてよかった。車椅子の介助体験がしたかった。
自分が不自由になったときというのは、なかなか経験できなかったのでよかったです。
目的達成度
今回の活動はシングルケースであるため、アンケート結果や背景から推測するに成果はみられたと考える。
今後の課題
啓発活動として意味合いが強いケースにおいて、活動成果を見える化することが課題であると考える。高齢化する地域は全国的におこり介助を広めることはおおよそよいリアクションがもらえると考えるが、それがどれだけ根付いたかを評価することができるようになることが今後の課題であると考える。
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