バリアフリー推進事業

平成21年度ECOMO交通バリアフリー研究助成対象事業 中間報告

研究助成名

歩行困難高齢者の外出支援のための電動移動補助機器の開発(344-3)

研究者名

東洋大学ライフデザイン学部 米田郁夫

 

研究内容

本研究の目的は、歩行が困難になった高齢者の外出を支援するための移動補助機器を開発することである。具体的には、動きの機能が残っている下肢を積極的に動かしながら安全かつ楽に動き回ることができる移動補助機器であることに開発目標を設定している。それは、機能が残っている下肢を、日常生活動作の中で動かすことにより、自立生活を支援すると同時に、下肢機能の維持あるいは向上ができると考えたからである。
  本開発研究では、前後2輪ずつの車輪配置を持つ足漕ぎ式移動用具(図1参照)を開発のためのベースモデルとして選定した。
  原型モデルの特徴は以下のとおりである。
@前2輪はかなり接近して配置されているので外見上は3輪の移動用具に見える。A前2輪のうちの1輪を、自転車と同様チェーンを介してペダルで駆動する前輪駆動方式である。B前輪は自転車と同様ハンドルによって向きを変えることができる。C操舵輪としての前輪は360回転できる。Dそれにより、その場旋回および後退も可能である。E4輪方式であるので転倒のリスクは非常に小さい。
  原型モデルで平地を移動するときは問題ないが、昇り坂は健常者でもかなり力を必要とするため実用的ではないことが明らかであった。したがって、下肢の力が弱い歩行困難者では不可能である。そこで、本年度は、下肢筋力が低下している高齢者が平地だけでなく坂道等でも楽に移動できるシステムにするため、原型モデルに市販の自転車用電動アシスト装置の搭載を試みた(図2参照)。自転車用電動アシスト装置は無償で貰い受けたものを活用した。
  試作機について、学内および学外で安全を確保しながら慎重に試験走行しその効果を検証した(図3参照)。学生らが学外の坂道等で試験走行しているときに「乗ってみたい」と声を掛けてくる高齢者もいた。試験走行の結果からも、歩行困難な高齢者のための有効な外出支援機器になる可能性が大きいとの確信が得られた。

来年度以降、本年度の成果を基にさらに改良を加えより洗練したシステムを構築したいと考えている。そして、近い将来、下肢の動きを活用した新しい電動車いすの開発も含めて、歩行困難高齢者のための外出を支援する移動補助機器の実用化を実現させたいと考えている。
 

 

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