障害者や高齢者の移動のラストワンマイル(徒歩圏)をICTで支援をするためのスマホ教室の開催
地縁−中央 江口 裕子
スマホ教室 地域コミュニティの醸成 ICT 高齢者・障害者の移動
■高齢者向けスマホ教室 スマホを活用して自由に目的地を選択し、目的地に到着するまでの道案内アプリを容易に使えるようになり、地域の仲間と交流を図れるようになるためのスマホ教室を実施した。 <日時> 1クール目(6月〜11月)】※スマホ教室(全3回)、スマホ教室後の操作確認会+懇談会 1回目:2023年 6月16日(金)14時〜15時半 2回目:2023年 7月28日(金)14時〜15時半 3回目:2023年 8月25日(金)14時〜15時半 4回目:2023年11月19日(日)14時〜15時半(懇談会) 2クール目(12月〜3月】※スマホ教室(全3回)、スマホ教室後の操作確認会+懇談会 1回目:2023年12月22日(金)14時〜15時半 2回目:2024年 1月26日(金)14時〜15時半 3回目:2024年 2月23日(金)10時〜11時半 4回目:2024年 3月 8日(金)14時〜15時半(1・2クール目合同懇談会) <対象> LINEを使っている初心者、今後LINEを使うことを検討している高齢者 <講師・アシスタント> (一社)シニアライフの相談窓口 田和 真由美様/ アシスタント:石川 雅己様、坂本 友見子様 <内容>1・2クールともに同様の内容で実施 1回目:基本操作の習慣を図る(1) @基本操作 ALINEアプリの起動から終了までの一連の操作 B友だち追加の方法、参加者のグループライン作成 2回目:基本操作の習得を図る(2) @写真の保存操作:LINE上の写真の保存方法 Aリプライ操作:グループLINE上での返信方法 B送信取消、削除操作:それぞれの使い方の違いを説明 ※@〜BをグループLINE上で互いに体験した 3回目:基本操作の習得を図る(3) 参加者の2/3がAndroidOS系であり、Googleを利用を希望していたため、以下の内容を選択した @Googleで天気予報の検索、目的地の検索、目的地へのルート検索 AGoogleのカメラ機能を使って、「これなぁに?」を検索 4回目:全3回のスマホ教室が終了してから約3ヵ月後に、仲間同士のリアルな交流とスマホ教室の振り返りを目的として、懇談会を開催した。 教室終了後は、グループLINE上で画像やスタンプを送り合う練習を行っていた。 地縁−中央のメンバや講師もグループLINEに入り、受講生からメッセージが届いた場合は必ず講評するようにした。 3ヵ月ぶりにリアルで再会したが、LINE上でやりとりをしていたため、仲間同士の距離は非常に近くなっており、自然に会話が弾み、和気あいあいと良い雰囲気だった。 ■視覚障害者向けスマホ教室 スマホを活用して自由に目的地を選択し、目的地に到着するまでの道案内アプリを容易に使えるようになり、地域の仲間と交流を図れるようになるためのスマホ教室を実施した。 <日時> 全4回(開催予定も含む) 1回目:2023年 9月24日(日)14時〜15時半 (開催) 2回目:2023年10月 9日(月)14時〜15時半 (悪天候のため中止) 3回目:2023年11月19日(日)14時〜15時半 (講師の体調不良のため中止) 4回目:2023年11月23日(木)14時〜15時半 (講師の体調不良のため中止) <対象> 中央区視覚障害者福祉協会の会員 <講師> 中央区視覚障害者福祉協会会長、(株)ふくろうアシスト:代表取締役 河和 亘様 ※講師は視覚障害と肢体不自由の重複障害者 <内容> 1.iPhoneの概要説明(視覚補助機能:VoiceOver、ズーム、拡大鏡、色反転など) 2.操作の基本の説明 @本体の操作(ホームボタン、音量調整、電源ボタン) Aジェスチャー操作:スワイプ=画面を滑らせる)、タップ=画面を軽く触る 3.iPhoneの持ち方の説明(ディスプレイが表面、ホームボタンが正面下側に来るように持つ) 4.便利機能:アクセシビリティ ・ズーム、拡大鏡、VoiceOverの紹介 ■高齢者向けスマホ教室(2クール目) ※内容は、1クール目と同様のため省略(写真のみ掲載) 【所感】 高齢者向けのスマホ教室は、1クール・2クール合計で10名(男性1名、女性9名)が参加した。 今回の参加者は、スマホに対して苦手意識が強く、家族に質問しても操作方法を習得できるまで教えてもらえないため、新しい機能を使うことを諦めている方が多かった。 今回は、9名の方が使っているLINE(1名はアプリ導入から介入)やGoogleアプリを用いた内容でスマホ教室を実施した。普段から家族や一部の友人とのコミュニケーションツールとして使っているLINEだが、写真の保存方法や送信取消・削除の使い方の違いなどを理解している方はいなかった。 初回でLINEの友だち追加やグループラインを作っていたため、新たな機能(写真の添付・保存、送信取消・削除)を実際にLINE上で体験することができた。仲間同士でわからないところを教え合いながら苦手な部分を克服できるので、習得できるのではないかと感じた。 高齢者がスマホを日常的に使えるようになるには、操作方法だけをピンポイントで教えるのではなく、スマホの苦手意識を共有できる仲間がいて、いつでも相談できる人や場所があり、継続的に使い続けることが大切であることを学んだ。 視覚障害者向けのスマホ教室は、全4回を計画していたが、講師の体調不良のため1回のみの実施に留まった。講師の代替えなどの策を考慮しておくことが今後の課題となった。 初回は、中央区視覚障害者福祉協会の会員2名とそれぞれのガイドヘルパーが参加した。2名は70代の女性で、スマホ(iPhone)は持っているが、ほとんど触れたことがない方々だった。 講師は、自身が全盲のこともあり、視覚障害者のスマホ利用の課題も熟知していたため、基本画面の位置の確認、タップの仕方など基本となる操作を重点的に教授していた。正眼の支援者は、参加者のスマホ操作が正しく行われているかどうかを毎回確認し、ガイドヘルパーにも覚えてもらえるように丁寧に説明した。視覚障害のあるパワーユーザーの指導は、当事者の困りごとにも熟知しているため最適ではないかと考える。この教室に参加後、参加者の1名はご自身のスマホから電話をかけることができるようになったという成果があった。このことにより、生活の質が向上し、さらに便利な機能を習得したいという意欲が高まったと思われる。 デジタル化に取り残されやすい視覚障害者や高齢者に対して、スマホの基本操作方法の説明、日常的によく使う機能を学ぶためのスマホ教室を継続的に実施することにより、QOLの向上とフレイル予防を実現することが示唆されたと考える。さらに、ICTを活用して人と人がつながり、地域コミュニティを醸成できる可能性が期待できると考える。 今後は、基本操作を習得した上で外出のサポート、様々な交通(タクシーやライドシェアなどを見据え)の予約の仕方を習得する教室の開催を考えている。 |
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