バリアフリー推進事業

2022年度 一般部門 成果報告

研究助成名

子育て当事者が求める幼児用座席を設けた自転車の安全な駐輪場に関する研究 ~駐輪場ガイドライン作成に向けて~

研究者名

学校法人三橋学園 船橋情報ビジネス専門学校 生越 雅志

キーワード

幼児乗せ自転車、子ども、まちづくり、駐輪場、子育て当事者

研究内容

(研究目的)
男女共同参画社会に向け、男性の育児参加が促されている。しかしながら、いまだに、ひとり親や子育てを母親だけが担うなど孤育てになっている現状が見受けられる。子育てにおいて孤立しないように、地域子育て支援拠点(つどいの広場、子育てサロン等)の居場所を設けたり、外に出てイベントに参加したり、公園に出掛けたり、事象と触れるなど子育て中の親子にとって、自宅から外に出ることは大変重要な事柄である。外出時の親子の移動手段として、幼児用座席を設けた自転車を利用することが多い。一方で、さまざまな視点から子ども乗せ自転車に乗る、降りる際の安全な駐輪場を地域で見かけることは少ない。そこで子育て当事者から、幼児用座席を設けた自転車の安全な駐輪場はどのような駐輪場であるか、アンケート調査を行い、当事者からの主体的な調査結果をもとに、どのような駐輪場が求められており、安全な駐輪場を整備出来るのかを調査する。調査結果を冊子にまとめ、子育て当事者の声を駐輪場を設けている施設及び店舗管理者へ届けることが目的である。ひいては、すべての人に安全・安心な駐輪場の整備が進み、駐輪場のガイドラインを作成するときの足掛かりとなることを目指す。

(研究手順)

研究方法:アンケート調査とし、クロス集計やテキストマイニングを用いてデータを分析し、専門家とガイドラインを作成する ・事前調査:子育て当事者に簡単な意見を聞きながらアンケート用紙を完成させる。 ・倫理審査:日本女子大学倫理審査委員会の承認のもと行う ・アンケート配布:自治体に協力を得て、児童館や子育て支援センターなどを通してアンケートを配布する。郵送により回収する。アンケート用紙は紙媒体とし、希望する場合、Webでの入力を可とする ・結果分析:アンケート内容をテキスト化し、結果のクロス集計を行う。さらに、自由記述を多く設けているため、KHCoder3を用いてテキストマイニングを行う ・分析結果をもとに傾向を把握し、冊子の作成を行う ・冊子を協力自治体他関東周辺の地域に配布する。 そのほか、共同研究者の関係する団体のHP等にて周知する

(研究成果)

【調査方法】 アンケート調査期間:2022年6月1日~7月31日 アンケート分析期間:2022年8月1日~9月30日対象エリア:首都圏近郊 対象者:幼児用座席を設けた自転車を利用している当事者 (アンケート回収率24.8%、アンケート回答者509人) 【回答者の基本属性】 性別:男性 32人、女性 472人、その他5人 年齢:24歳以下 5人、225~29歳 45人、30~34歳 141人、35~39歳 174人    40歳以上142人、無回答2人 子どもの人数:1人 198人、2人 201人、3人 58人、4人以上 8人 子どもの年齢:0歳児91人、1歳児135人、2歳児129人、3歳児92人、4歳児61人、5歳児61人、6歳児45人、その他72人 【アンケート結果】 子ども乗せ自転車の種類は406人が電動アシスト付自転車を利用していることがわかった。さらに半数以上の284人が毎日利用している。子ども乗せ自転車を利用する時間としては97%の人が片道30分であれば自転車を利用することが分かり、かなり遠くまで電動自転車で子どもを乗せて移動していることが分かった。さらに、雨天でも子ども乗せ自転車に乗る理由として最も多いのが、幼稚園保育園への送迎(172人)であることが分かった。次いで買い物(96人)となっている(複数回答)。中には3人以上子どもを乗せて雨天でも自転車を運転している人もいるため、より安全な駐輪場や乗り降りの場所を確保する必要があると考える。 自由記述では、タイヤが大きくて駐輪できない。駐輪場の幅が狭い。乗せ降ろしの時に安全な場所が少ない。外灯が暗い。買い物する場所から駐輪場が遠いとあきらめるなどの声があり、多くの困難を把握し希望の駐輪場への要望も明らかにした。 【成果物】 アンケート調査をもとに専門家(保育関係・建築まちづくり関係など)と子ども乗せ自転車に関する駐輪場の冊子の作成を行った。冊子はA4,8ページのフルカラーとし、わかりやすい表現につとめた。内容・構成は、子ども乗せ自転車の当事者の使い方や利用時の困難事例、駐輪場整備の期待と理想の駐輪場、駐輪場を管理する関係団体へのアドバイス等である。以下例を示す。

 

図 子ども乗せ自転車に関する駐輪場の冊子

図 子ども乗せ自転車に関する駐輪場の冊子