〔テキストデータ凡例〕 �@ 原本のスライド番号を「【】」で囲い、原本の各スライドの開始位置に挿入した(例:【スライド10】。 �A 最も大きい見出しには「# 」、2番目に大きい見出しには「## 」を、各見出しの直前に挿入した。 〔凡例、終わり〕」 【スライド1】 旅客船利用の実際と今後への期待 NPO法人ゆに 安田 真之 旅客船のバリアフリー化推進セミナー@大阪 2026年8月28日 【スライド2】 # 概要 旅客船利用を重ねるなかでの視覚障害当事者としての気づきを共有した上で、旅客船事業者の皆様とともに考えたい望ましい対応等について提言する。 Contents ・ 自己紹介 ・ 視覚障害とは ・ 旅客船利用について ・ 困り事集 ・ 好事例集 ・ 今後への期待 【スライド3】 # 自己紹介 ・ 安田真之(ヤスダ マサユキ) ・ 団体職員:障害学生支援、障害と教育に関する研修やコンサルティング等 ・ 根っからの旅行好き・乗り物好き ・ 先天性の視覚障害(光覚) 【スライド4】 # 視覚障害とは 【スライド5】 ## なぜ利用が難しい? イメージ画像:船内のビュッフェで視覚障害者の男性が困って立ち尽くす様子 【スライド6】 ## 視覚障害とは イメージ画像:船内のビュッフェで、視覚障害者の男性が乗組員の介助で料理を取ろうとしている様子 視覚障害=情報が得られない・得にくい→行動に制限 【スライド7】 # 旅客船利用について 【スライド8】 ## なぜ船に乗るのか 〜さんふらわあの歌〜 一人になりたい時 二人きりになりたい時 誰かに会いたい時 風がささやく 海の旅に 心をみつめる時 生きていると感じる時 命が燃えてる時 夢が広がる 海の旅に さんふらわあ さんふらわあ 太陽に守られて さんふらわあ さんふらわあ 太陽に守られて 行こう 作詞:増永直子 作曲:渋谷毅 【スライド9】 ## 旅客船に対するイメージ(1) ・ 当初のイメージ:最も利用しにくい交通機関 ・ 広い空間での移動が難しい:トイレに行って自席に戻ることからして不安 ・ セルフサービスの食堂利用等が難しい ・ コロナ禍以降:ポジティブに変化 【スライド10】 ## 旅客船に対するイメージ(2) ・ 弱視の同行者となんとなくフェリー乗船:手すりの点字表示等が充実 → 自由に動き回って過ごせるのが楽しい ・ 船旅を楽しむ視覚障害の友人の話を聞く ・ YouTube動画で趣味的な関心を持つ ・ 試しに帰省時に単独利用:乗下船時や食事・買い物時の案内等スムーズな対応 → 単独でも乗れると確信 ・ 以後積極的に利用 【スライド11】 ## 旅客船利用の方法(1) ・ 下調べ(ウェブサイト、動画等):時刻、運賃、各等級の設備、ターミナルアクセス等 ・ 予約(主に電話):乗下船時の介助「のみ」依頼 ・ 予習(ウェブサイト、動画等):船内レイアウト、備品・設備、レストラン・売店ラインナップや営業時間等 QRコード:「エンイチぶらり旅。」 https://www.youtube.com/@en_ichi QRコード:「こやトラベル / Koya Travel」 https://www.youtube.com/@KoyaTravel 【スライド12】 ## 旅客船利用の方法(2) ・ 乗船時:乗船名簿代筆、ターミナルから船までの案内(客室設備・備品、お手洗いや案内所等の位置)を依頼 ・ 船内移動:手すりを辿る、点字表示、警告ブロック、人の声、においや音、人に尋ねる ・ 食事:並んでいれば前の人に頼んで一緒に入口まで進んでもらう、乗組員に注文・配膳・下膳等を依頼 ・ 買い物・入浴・リフレッシュ等:乗組員や他の乗客等に適宜サポート依頼 ・ 下船時:客室からターミナル出口(バス乗り場等)まで案内を依頼 【スライド13】 ## 船旅に欠かせないカレーとアイス 写真:船内個室のテーブルの上に置かれたさんふらわあカレーとサラダ 写真:船内個室のテーブルの上に置かれたハーゲンダッツアイスクリーム 【スライド14】 # 困り事集 【スライド15】 ## 困り事集(1/7) ・ ウェブサイト上のターミナルアクセス・船内マップやサービス案内等が画像データ(音声読み上げ不可) ・ オンラインでは障害者割引での予約や介助依頼ができない ・ 電話予約時に乗下船時の介助を依頼すると困った反応をされることがある ・ 連絡バス乗り場の場所が分からない:ウェブサイトは画像案内のみ ・ 連絡バスがターミナルから離れて停車すると入口が分からない ・ ターミナル内で窓口の場所が分からない 【スライド16】 ## 困り事集(2/7) ・ 乗船券のQRコード印字位置が分からない ・ 単独乗船すると驚かれることがある ・ 介助等のオペレーションに戸惑われることがある(私の目の前で相談が始まる) ・ 乗組員がバリアフリー設備についてよく知らないことがある(私が説明すると驚かれる) ・ (研修等含め)介助未経験と思われる方が少なくない(一から説明が必要) 【スライド17】 ## 困り事集(3/7) ・ 自室にたどり着けない(部屋番号や客室通路入口の表示が分からない) ・ QRコードのルームキーをうまく扱えない(位置を合わせられない、開錠を音で確認しにくい) ・ 空調等がタッチパネルのため操作できない ・ 案内所、レストラン、売店等、手すり沿いに入口のない場所にたどり着けない 【スライド18】 ## 困り事集(4/7) ・ 手すりに柱が近接していてスムーズにたどれない ・ 稀に点字表示が破損していることがある ・ レストランの入口/列の最後尾が分からない ・ メニューが分からない:ウェブサイトにはごく一部しか/まったく載っていない 【スライド19】 ## 困り事集(5/7) ・ 料理を取って空席に運ぶのが難しい ・ レストラン・売店等での介助を依頼しにくい(忙しそうで遠慮してしまう) ・ 乗組員に依頼するにもどこにいらっしゃるか分からない/呼びかけても気づいていただけない ・ 自動販売機/券売機のボタンが分からない、タッチパネルのため操作できない ・ 注文用タブレットを操作できない ・ ビュッフェで追加/おかわり(の配膳依頼)が難しい 【スライド20】 ## 困り事集(6/7) ・ 食後、食器等を返却口に安全に運んで返却することが難しい ・ セルフレジ(自動会計機)が操作できない ・ 売店で商品を選びレジへ持って行くのが難しい 【スライド21】 ## 困り事集(7/7) ・ 浴室の混雑状況表示が分からない ・ 浴室のシャンプー・リンス・ボディソープの区別ができない ・ シャンプーの触覚マークつきのボトルに他の物が入っている ・ 掲示やTVテロップのみで表示される案内(海峡通過、姉妹船行き違い、施設営業時間等)が分からない ・ 連絡バス下車後、駅等の入口の場所が分からない 【スライド22】 # 好事例集 【スライド23】 ## 好事例:ハード面 ・ ターミナル入口にインターホンと「受付は入って右です」の音声案内 ・ 手すりに点字で部屋番号や客室通路の案内表示 ・ 手すりに点字で「柱注意」の表示 ・ 男女別設備が右舷側・左舷側にきれいに分かれている ・ 鍵がQRコードではなくシリンダー式 ・ QRコードキー認識時にチャイム 【スライド24】 ## 好事例:ソフト面(情報等) ・ Web:連絡バス乗り場や船内レイアウトを「文字」で案内 ・ Web:レストランのメニュー等を公開 ・ Web:オンライン予約で障害者割引対応&「備考」欄入力で介助依頼可 ・ 乗船券:QRコードが券面の角に印字されていてカメラに当てやすい ・ 放送:「右手後方のレストラン」と位置を説明 ・ 放送:海峡通過時刻を(同時/直前ではなく)事前に案内 ・ 浴室:触覚で識別できるシャンプーボトル 【スライド25】 ## 好事例:阪九フェリーウェブサイト 道順を文字でも案内 画像:ホームページのスクリーンショット。「在来線改札口から北口に向かいます。そのまま直進し、新幹線改札口の前を通過します(阪九フェリー看板が目印)。「新門司フェリー送迎バス」の案内がある階段を降ります。直進すると、「阪九フェリー行のりば」に到着です」と、文字でルートが案内されている。 【スライド26】 ## 好事例:オーシャン東九フェリー予約サイト 障害者割引&介助依頼入力可 画像:オーシャン東九フェリーの予約サイトのスクリーンショット。「学割・障がい者手帳の割引を適用する場合、各種割引より該当する割引をご選択ください。(身体障がい者1種・知的障がい者A・精神障がい者1級の方で介護者がいる場合は介護者も選択ください)」と書かれている。安田氏の氏名や住所等が入力され、「各種割引」の欄で「身体障がい者1種」が選択されている。備考欄には「「車いすあり」等の連絡事項があれば記入してください」と説明書きがあり、その入力欄に「目が見えないので、徳島港乗船時にターミナルから船室まで、東京下船時に船室からターミナルまで案内をお願いします。」と入力されている。 【スライド27】 ## 好事例:ジャンボフェリーウェブサイト 左:画像による案内 / 右:文字でも案内 左の画像:ジャンボフェリー「あおい」の2Aエリアの画像案内。 右の画像:同エリアの文字による案内。「2階最前方の2Aエリア(スターゲートから入ってアンカーコリドーの正面突き当りのエリア)」と、文字でも案内されている。 【スライド28】 ## 好事例:ソフト面(接遇等)(1) ・ 連絡バス降車場で「安田様ですか?」と声を掛けてそのまま案内 ・ 「場所を覚えたいので、エレベーターではなく階段経由で案内してください」 → 手すりや点字ブロックを確認しながら船内案内 ・ 「案内所にスタッフがいますので、何でも言ってください」 ・ トランシーバーの貸与 【スライド29】 ## 好事例:ソフト面(接遇等)(2) ・ 乗船案内時に「お食事はどうされますか?」 ・ レストラン入店時に乗組員から「ご案内しましょうか?」の声掛け ・ レストラン:タブレットオーダー形式だったので、口頭でメニュー説明と注文聞き取り ・ レストラン:オーダーメニューで手早く済ませようとしたら、並んでいる料理を丁寧に説明して取ってくださる ・ 「食べ終わったら食器はそのまま置いておいてください」 ・ 食事・買い物後に自室まで送ってくださる 【スライド30】 ## 好事例:ソフト面(接遇等)(3) ・ (介助未経験で)「どうしたらいいですか?」と私に直接質問 ・ 乗船中、いい意味で「放置」 ・ 下船後の連絡バス運転手が、駅到着時に自ら駅入口まで案内 【スライド31】 # 今後への期待 【スライド32】 ## バリアフリー化により旅客船の価値を高める取り組み ・ 乗客が船旅に求めるもの:非日常、ゆとり、やさしさ等々 ・ バリアフリー設備や良いサービス・接遇:乗客が求める船内環境づくりに少なからず貢献 【スライド33】 ## ソフト面の充実による「障壁」の除去(1) ・ 多くの障害者等の旅客船に対するイメージ: ・ 乗るの大変そう ・ 船内で無事に過ごせるか不安 ・ 乗組員さん忙しそうだから何も依頼しないようにしよう ・ ポジティブメッセージの発信 → 不安解消・乗船の後押し、多様な顧客の獲得 【スライド34】 ## ソフト面の充実による「障壁」の除去(2) ・ ウェブサイトでの情報発信の充実 → 乗船への期待醸成、乗船時の行動円滑化、個別対応の負担軽減 ・ オンライン予約の障害者割引等対応 → 予約環境の不平等の是正、個別対応の負担軽減、顧客取りこぼしの防止 ・ ウェブアクセシビリティの向上 → 情報の不平等の是正、個別対応の負担軽減、顧客取りこぼしの防止 ・ 船内放送の有効活用(誰もが分かりやすい案内) → 情報の不平等の是正、不安解消、顧客満足度の向上 【スライド35】 ## 当事者参加の取り組みを標準に ・ バリアフリー設備設計・点検:経済的合理性の観点からも推奨 ・ 情報発信のあり方の検討・検証:障害者に分かりやすい情報は誰にでも分かりやすい ・ 接遇研修等:障害者との直接対話がもたらす「より良い接遇」 → すばらしい旅客船環境 障害者=旅客船の価値を高めるパートナー 【スライド36】 ## さあ、出航! イメージ画像:フェリーに障害者を含む多様な人々が乗り込んで行く様子 以上