交通環境対策事業

東京北区でのカーシェアリング社会実験
実験結果速報(2002年1月23日)

昨年の9月から12月にかけて実施した社会実験の結果を速報として公表します。なお、更なる分析・評価を行い、今年3月に報告書としてまとめる予定です。

1.実験の目的

自動車共同利用の社会実験を実施し、自動車共同利用が人々に受け入れられるための条件を把握するとともに、自動車利用総量の減少等を通じて環境負荷低減に寄与するかどうかを検証し、わが国での自動車共同利用普及のための課題と方策を整理する。

需要の把握 受け入れられるための条件の把握、利用状況に関するデータ収集
社会的効果の把握 環境負荷低減効果の把握、都市空間の節約効果の検証
事業化に向けたデータ収集 採算性検討のためのデータ収集、運営上の問題点の抽出

2.実験概要

実験主体 交通エコロジー・モビリティ財団
期間 平成13年9月24日〜12月15日
実施場所 東京都北区内の民間分譲マンションおよび隣接する時間貸し駐車場
実験規模 車両台数:4台
実験協力者数:43人(同マンション居住者)
駐車場:1ヶ所(駐車スペース4台分)
車種 1800cc車(日産ブルーバードシルフィ)2台
1300cc車(ダイハツYRV)2台
いずれもグリーン税制対象車
料金体系 時間料金:200円/時間+距離料金:25円/km
管理センター 同マンション内に設置
営業時間:9:00〜18:00
(但し土・日・休日は16:30まで)
予約受付時間 インターネット:24時間
電話:管理センター営業時間内のみ
貸し渡し・返却 24時間
データ収集 ICカードによる利用データ、交通日誌、アンケート等による
実験周辺施設図

3.実験協力者の属性

総数43名 平均年齢38.8歳 男女比率2:1 男女比率2:1 男女比率2:1
年齢構成 20代 30代 40代 50代
6名 18名 16名 3名
年齢別構成比グラフ
グループ別構成比
Aグループ 実験期間中はマイカーを極力使わないで実験に参加される方(マイカーを手放してカーシェアリングに転換した場合を想定) 16名
Bグループ セカンドカー利用として実験に参加される方 5名
Cグループ マイカーのない方 22名
グループ別構成比グラフ

4.利用実態

  • 実験期間83日間を通しての総利用回数は312回、総理用時間は834時間45分、総走行距離は5998kmであった
  • 平日の利用は2.2回/日、休日は7.1回/日、平均して3.8回/日であった
  • 利用時間は、平日5時間26分/日に対し、休日は20時間9分/日であった。
  • 走行距離は、平日36.6km/日、休日150.5km/日であった
  • 1回当たりでみると、概ね2時間半、20kmの利用であった

利用状況から、車両は2〜3台で十分であった

グループ別利用実態 月当たり平均走行距離
Aグループ 28km/人・月
Bグループ 43km/人・月
Cグループ 96km/人・月

利用目的は各グループとも買い物、送迎など

利用実態グラフ
車種別利用実態

当初は排気量に関わらず同一の料金としていたが、価格差による利用の変化を観察するため、11月17日より1300cc車の料金を改訂した(時間料金25%、距離料金20%の引下げ)。引下げ前後のそれぞれ1ヶ月間を比べると、1300cc車の利用回数が7割増加し、1300cc車の総利用時間、総走行距離とも3割前後増加した。

車種別利用実態グラフ
予約方法

電話とインターネットは3:7の比率であった。当初の予想を超え、インターネット利用の多さが目立った。

予約方法グラフ

交通行動の変化

本社会実験では、カーシェアリングの利用による交通行動の変化を分析するため、実験協力者に実験実施前、実施中、終了後のそれぞれの期間に1週間ごとの交通日誌を記入してもらった。

  • 第1回:実験実施前(9月17日〜9月23日)
  • 第2回:実験実施中(10月22日〜10月28日)
  • 第3回:実験実施中(11月26日〜12月2日)
  • 第4回:実験終了後(12月17日〜12月23日)
  • 移動回数の交通手段別構成比
    実験実施前における標準的な交通行動
    • 利用者平均の移動回数は3.0回/日
    • 助成は男性より約20%移動回数が多い
    • 車保有者は非保有者より約30%移動回数が多い
    4回にわたる交通日誌の分析結果
    • 移動回数の交通手段別構成比の変化
    • 車利用:実験前の15%から実験中は10%に低下し、終了後にはまた15%に戻った
    • 自転車・徒歩:実験期間中、それぞれ5ポイント程度増加した

    カーシェアリングへの参加により車利用が抑制され、自転車、徒歩に転換していることが読み取れる。当該地区においてはバス等の公共交通機関よりも、自転車、徒歩に転換している。

    移動回数の交通手段別構成比

    6.実験終了後のアンケート結果の分析

    多くの人が便利なシステムと評価し、参加してよかったと回答している。また、カーシェアリングの普及により車保有の減少が期待できるとの結果を得た。

    アンケート結果グラフ

    お問い合わせ

    交通エコロジー・モビリティ財団 交通環境対策部

    〒102-0076 東京都千代田区五番町10番地 五番町KUビル3階

    TEL:03-3221-7636、FAX:03-3221-6674