バリアフリー推進事業

平成28年度 成果報告

研究助成名

音による視覚障害者の空間認識の支援に関する研究

研究者名

金沢工業大学大学院建築学専攻 斎藤鉄馬

キーワード

音サイン、回折、空間分節、和音

研究内容

(研究目的)
健常者にとっては雑音にならず、視覚障害者には明確に認識できるようなサイン音があると両者にとって望ましい。本研究では視覚障碍者に認識されやすく、健常者に不快にならないサイン音はどのようなものなのかを明らかにすることを目的とする。将来的には公共空間のわかりやすさを向上させるような音環境デザインを実現できるような手法を実現するための一つの方法とすることが望まれる。

(研究手順)

@ピンクノイズでの検討
・音の回折効果をサイン音に活かせるかを検証
・1000 Hz以上の音が適している
A和音で構成した場合の効果の検証
・ノイズより認知されやすい
・ノイズと比較して違いがあるのかを検証
B時間変動を考慮した検討
・時間変動が空間認知に影響を与えるか
・適切な時間特性の検証
C印象評価
・@からBを総括してサイン音に適切なものは何か
・健常者にとって不快にならないか

(研究成果)

  1. 近年では法的に規定されているサイン音により、空間的な位置を知ることができる。しかし、空間の一般的な状況を示す音は規定されていない。例えば、廊下が交差する部分や折れ曲がる部分を感知するのは安易とは言えない。また、もしそういった場所専用のサイン音を規定しようとすると、健常者にとっては耳障りになってしまい、ユニバーサルデザインの視点からすると好ましいものではなくなる。
     そこで、健常者にとって不快にならず、視覚障害者が注意をして聞けば気づくような環境調和型サイン音を提案する。スピーカから直接音が聞こえる空間と回折音が聞こえる空間を作り出す。それぞれの空間の音の違いにより、聴感的に違う空間に移動したと認識できるのではないかと考えた。
    低周波音は回折減衰が小さく、高周波音は減衰が大きい。この効果を用いて、空間分節に適切な周波数特性に関する実証実験を行った。試験音でノイズを用いた場合の結果は1000 Hz以上の周波数を含む音が認識しやすいことが分かった。
     今回の実験ではノイズではなく、より認知されやすい純音の複合音を試験音として用いた。その結果、500〜2000 Hzの音がサイン音に適していることが分かった。

 

図1 解析音による空間分節化モデル

図1.回折音による空間分節化モデル

表1.被験者の停止範囲と割合

表1 表1。 被験者の停止範囲と割合

バリアフリー設備のご紹介

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