幼稚園通園世帯と保育園通園世帯に実態調査を行った。
左図のとおり、就業変化では、保育園世帯が形態変化等をさせて、就業継続をしている中、幼稚園世帯では離職傾向が高い。
また、外出頻度変化については、幼稚園世帯がほとんど変化していない傾向だが、保育園世帯では、外出頻度が増加または減少する傾向である。
以上の結果から、保育園世帯において、交通行動の変化が見受けられる。
既往研究では、保育送迎時(子ども連れ時)の移動の限界時間は10分、移動距離換算500m(親単独の場合は約666m)とされている。
この値を移動負担の基準とし、左図のように自宅から保育園までの移動時間、保育園から通勤時に利用する駅との移動時間により分類を行うと、既往研究の基準値以内の保育送迎を行っている世帯はわずか10%に過ぎなかった。
すなわち、本調査対象世帯のほとんどが保育送迎および通勤時の移動時間が長く、移動時に負担を抱えている地域であることが言える。
実態調査結果を基に、保育送迎時の移動負担要因が影響を与える要因を各バリア要因(物理・身体・心・情報)と行動意識、立地状況、子育て環境とし、意識構造の定量化と因果関係を明らかにするために右図のように共分散構造分析を行った。
その結果、身体バリアや心のバリア、子育て意識、アクセス性、立地状況、就業変化、子どもの年齢が主な要因として明らかになった。この結果は子育てに従事している世帯特有なものと考えられ、実態調査の結果と合致した結果になったと言える。