財団の概要


バリアフリー推進事業

平成27年度 成果報告

研究助成名

子ども連れ世帯の交通行動及び保育送迎時の実態に関する調査研究

研究者名

日本大学大学院理工学研究科博士前期課程 明渡 隆浩

キーワード

子ども連れ世帯の移動、交通行動、子育てバリアフリー、移動負担要因

研究内容

(研究目的)
わが国では,少子化対策として,次世代を担う子どもを安全かつ安心して育てることのできる生活環境整備など「子育てバリアフリー」の推進が求められている.同時に、子どもの成長に伴う生活の質的変化により,子ども連れでの外出行動が多様化している.特にベビーカー利用時のバリアやマナーの問題等が深刻化しており,行政の対策として,就業と育児の両立支援や保育施設の拡充,また,子育てタクシーやファミリーサポート事業による移動支援が展開されている.しかしながら,現状の制度下では,特に共働き世帯の保育園・幼稚園への送迎(保育送迎行動)や,子ども連れ外出時等の対策・交通施策は十分とは言えず,育児と就業の負担増加や就業継続の困難等の問題が発生している.そのため,子ども連れ外出時の交通行動の実態については未だ掴みきれていないのが実情と言える.本研究は,子ども連れ世帯の多様化する生活状況を鑑み,子ども連れ時における交通行動及び保育送迎時の現状を調査し、保育施設・駅施設等の立地状況等を踏まえた実態及び課題を明らかにし,個々人における行動状況や負担状況等について,意識調査から明らかにし,移動負担要因を明確化することで,子育て環境や行動意識,立地状況との関係性を定量的に示すことを目的とする.なお,調査については,保育園通園世帯と幼稚園通園世帯を対象に複数回の調査を実施し,同一被験者を対象とした追跡型調査の実施効果についても取りまとめる.<調査は継続的に行い、フィールドは東京都荒川区>

(研究手順)

1.本研究の位置づけ:子ども連れ時の行動実態の把握(保育園・幼稚園)→ライフスタイル・交通行動の把握

2.保育送迎時の課題・移動負担要因の把握:保育送迎時の行動分析、子育て環境・立地状況等との関係性の把握

3.子ども連れ外出時の移動負担要因の明確化:移動負担要因と子育て環境・行動意識のモデル構築→移動負担要因の分析

(研究成果)

  1. 幼稚園通園世帯と保育園通園世帯に実態調査を行った。

     左図のとおり、就業変化では、保育園世帯が形態変化等をさせて、就業継続をしている中、幼稚園世帯では離職傾向が高い。

    また、外出頻度変化については、幼稚園世帯がほとんど変化していない傾向だが、保育園世帯では、外出頻度が増加または減少する傾向である。

    以上の結果から、保育園世帯において、交通行動の変化が見受けられる。

    既往研究では、保育送迎時(子ども連れ時)の移動の限界時間は10分、移動距離換算500m(親単独の場合は約666m)とされている。

     この値を移動負担の基準とし、左図のように自宅から保育園までの移動時間、保育園から通勤時に利用する駅との移動時間により分類を行うと、既往研究の基準値以内の保育送迎を行っている世帯はわずか10%に過ぎなかった。

     すなわち、本調査対象世帯のほとんどが保育送迎および通勤時の移動時間が長く、移動時に負担を抱えている地域であることが言える。

    実態調査結果を基に、保育送迎時の移動負担要因が影響を与える要因を各バリア要因(物理・身体・心・情報)と行動意識、立地状況、子育て環境とし、意識構造の定量化と因果関係を明らかにするために右図のように共分散構造分析を行った。

     その結果、身体バリアや心のバリア、子育て意識、アクセス性、立地状況、就業変化、子どもの年齢が主な要因として明らかになった。この結果は子育てに従事している世帯特有なものと考えられ、実態調査の結果と合致した結果になったと言える。

  2.  

 

事業の流れ

実態調査比較 圏比較

保育園送迎時の行動実態調査 立地との関係

保育送迎時の移動負担要因〜共分散構造分析

研究成果のまとめ

 

バリアフリー設備のご紹介

バリアフリー設備のご紹介

実績報告

成果報告会