バリアフリー推進事業

平成26年度 成果報告

研究助成名

公共交通機関でベビーカーを利用する際の課題整理と改善策の提案(51-3)

研究者名

神戸女子大学家政学部 西本 由紀子

キーワード

人、モノ、まち、公共交通機関、ベビーカー利用

研究内容

(研究目的)
本研究は、公共交通機関等におけるベビーカー利用について、国土交通省で示された「ベビーカー利用にあたってのお願い」及び「ベビーカーマーク」についての普及・啓発活動がどのように機能していくのか、社会に及ぼす影響や効果を継続的に調査、検討していくとともに、既存のベビーカーの問題点を、まちの構成、人の生活特性、ベビーカー使用時における機能性、負担といった視点からとらえ、新たな機能を見出し、提案することを目的とする。

(研究手順)

  1. 1)関連研究・文献レビュー、関連事例の調査、2)ベビーカー利用者・非利用者を対象とした意識調査、3)ベビーカー利用者の行動調査・分析 、4)研究成果の取りまとめ 「人」「モノ」「まち」をキーワードに、 ベビーカーを利用する際の課題の整理・改善策の提案

    (研究成果)

     ベビーカー利用者を対象とした意識調査では、ベビーカーは子ども連れ外出用具として最も利用されていること、公共交通機関においての利用割合は2009年の調査と比較して増加していることが明らかとなった。また、ベビーカーを利用する際の周囲からの反応については、「子どもが泣いたり、ぐずっていたら嫌な顔をされた経験」、「混雑時などにベビーカーを邪魔そうにされた経験」、「バスなどで子どもを抱いて、ベビーカーを持っていても周囲は知らん顔をしている経験」の項目で、微増がみられた。事故につながるヒヤリ・ハット事例については、「ホームと電車の隙間にベビーカーの車輪が落ちた経験」が大幅に増加していた。ベビーカーの安全な利用を呼び掛けるチラシについての認知度は低く、今後どのようにベビーカー利用者に周知していくかが課題である。また注意すべき項目については、過去のヒヤリ・ハット事例と合わせて告知することで、注意喚起の効果が上がることが推察された。
     ベビーカー走行実験では、ベビーカーに簡易ドライブレコーダーシステムを装着することにより、ベビーカーの振動に関する客観的なデータと、ベビーカー利用者の主観的評価から、ベビーカーの快適性と安全性に関する考察を行った。加速度の変化が大きいほど快適性の主観的評価が低い傾向が見られるが、統計的に有意な相関は認められなかった。一方、安全性と快適性との間には有意な正の相関が認められた。ベビーカー利用者にとっての快適性には、道路通行時の振動以外に、自動車、自転車、歩行者交通量、自動車、自転車、歩行者との追い越しやすれ違い時に避ける動作、沿道環境や景色など、様々な要因が影響するものと考えられる。
     また、20?60代の東京23区、名古屋市、大阪・神戸市の在住者で、月1回以上公共交通機関を利用する方を対象とした意識調査では、公共交通機関において原則ベビーカーは折りたたまず使用できると決定されたことについての認知度や賛否について、地域、性別・世代等属性による意識の差異があることが明らかとなった。
     以上の結果をふまえ、ベビーカー利用者に対しては、安全教室などを継続的に展開し、安全・安心な利用を呼びかけていく必要があること、ベビーカー利用環境については、振動等に対するベビーカーの機能性能のみでなく街の構成についても配慮していく必要があることが明らかとなった。

 

 

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