バリアフリー推進事業

平成24年度ECOMO交通バリアフリー研究助成対象事業 成果報告

研究助成名

エネルギー消費を抑えた駅の照明環境整備のための視環境評価実験と輝度画像による評価 (3-学4)

研究者名

千葉工業大学 加納さくら

キーワード

階段、照明環境、被験者実験、輝度対比、明るさのムラ

研究内容

(研究目的)
JIS照明基準では、駅の利用者数によって3段階の照度基準を定めているが、2011年に行った駅舎の照明環境実態調査より、現行の照度基準を守ることが空間の必要要件を保証するわけではないことが示された。照度基準の値が定められた当時と現在とでは駅舎内で行われる視作業は変化してきており、現状に即した新たな照明設計基準が必要である。

従来の照明計画は、空間内に与える全光量を均等に分配するというものであったが、場所ごとの行為に必要な照明要件を満たすために、必ずしも空間全体で均等な明るさである必要はない。昨年度の調査結果から最も厳しい要件が求められる階段について、人の視覚の刺激量である輝度に基づく視環境評価実験を行い、必要明るさと許容される明るさムラの閾値について、また、それらが階段の仕上げによってどの程度緩和できるか検討した。

(研究手順)

@駅舎照明環境の実態調査

A駅舎における視環境評価実験

B被験者の主権評価と物理環境との分析

C基準に対する見直しの検討・提案

実際の駅舎にて視環境評価実験を行う予定であったが、節電時からの環境変化ならびに歩行者の影響等を鑑みて、節電環境下の駅舎内階段の照明環境を推定した上で(手順@A)、模擬階段室を作成し、視環境評価実験を行った(手順B)。

(研究成果)

  1. 実験階段を若齢者と高齢者に昇降してもらい、照度均斉度の違い・段鼻と踏面の輝度対比の違いによる評価の違いを検討した。

    今回の実験では、階段の総合的な評価には昇りよりも降りる際の評価の方が重視されることが分かった。一連の階段内の設定照度18〜150lx、設定照度比(2階側設定照度/1階側設定照度)1.0〜1.6の照明環境下では、若齢者は輝度対比が大きいほど見えやすさが向上したのに対し、高齢者は輝度対比による評価の違いがほとんどなかった。明るさのムラは、踏面の見易さ・空間の見易さ・段境界の見分け易さよりも段の見易さの良否の評価に与える影響が小さいことが分かった。今後さらに許容される明るさのムラと段鼻仕上げの関係について検討を進めると共に、輝度画像を用いて実際の階段を評価し、改善策を提案していきたい。

 

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