(研究目的)
3月11日の東日本大震災の影響で、首都圏には多くの帰宅困難者があふれ、各地で混乱が生じた。今後の発生が予測される首都直下型地震に備え、行政や企業、地域が連動して帰宅困難者対策に取り組む必要がある。本研究では、安心して移動できる社会の実現を目指す「交通バリアフリー」の観点に立ち、帰宅困難者を安全安心へと誘導するシステムの提案と開発を目指す。
(研究手順)
調査(ヒアリング調査・文献調査)、社会システムの提案、システム開発、実証実験
(研究成果)
- デジタルサイネージ活用の調査結果をまとめました。そして、サイネージ画面表示デザインのガイドラインの作成を試み、見やすさの検証を行いました。日常時での使い方の工夫により、「その場所の自販機のサイネージにより災害時に役に立つ情報を得る事ができること」を認識させることができるのではないか、という仮説をもとに、そのための仮説(アイデア)と共にその検証を行いました。
- 尚、本研究にて作成し検証を行った画面表示ガイドラインは、それに従えば絶対的に効果的なデザインが行える「答え」ではないという結論に至っています。むしろ、ガイドライン作成を通して経験した「デザインプロセス自体」が、効果的なサイネージ活用を実現するために本質的に必要なことである、という認識を持ちました。それゆえ、「災害時の帰宅困難者を安心安全に移動させるシステムの開発」をテーマとした今後の継続的な研究活動として、更なる情報コンテンツ自体の見やすさの工夫と学術的整理の他、効果的なデザイン手法知識や関連するノウハウを得る(学習する)ことができ、更に実際に画面表示のデザイン作業や評価実験を行うことができ、そして運用管理も可能な、総合なデザインプロセスのためのツールを創造する必要がある、との結論に達し、そのソフトウェアツールの設計と運用検証として、本研究の成果を2012年のテーマとして継承いたします。
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