バリアフリー推進事業

平成23年度ECOMO交通バリアフリー研究助成対象事業 中間報告

研究助成名

バリアフリー基本構想における住民参加と住民意識の調査(237-社3)

研究者名

ウエストナウ企画 今西正義

 

研究内容

「バリアフリー基本構想実施のおける住民参加と住民意識調査」の1年目として東京都区市を中心に、区市担当者、住民への双方に対しバリアフリー基本構想での住民参画についてアンケート調査およびヒヤリングを行った。
1)アンケート調査
・「区市バリアフリー基本構想住民参加アンケート調査」
 東京都におけるバリアフリー基本構想策定公表済み24区市35基本構想(2011年10月現在 )を対象に区市担当者に対し、協議会、パブコメ、まち歩き、ワークショップ、計画等の各段階での住民参加や住民提案について区市の考え方や住民参加の実施状況について、アンケート調査を実施した。そのうち21区市から32基本構想から回答があり回収率は91.43%であった。
・「バリアフリー基本構想住民アンケート調査」
 協議会、パブコメ、まち歩き、ワークショップ、計画等への住民参加の有無や基本構想の満足度について住民ヒヤリングを実施した方より協力者50名を紹介してもらい住民アンケートの実施であったが、協力者(2011年11月現在)は30名であった。協力者30名に対しアンケート配布し、そのうち20名の回答があり回収率は66.67%であった
2)ヒヤリング調査
・「区市の住民参加ヒアリング調査」
 アンケート調査の分析から、八王子市、調布市、三鷹市、武蔵野市、荒川区、北区、新宿区、港区、目黒区、板橋区の10区市を選び担当者へのヒアリング調査を実施した。住民代表委員をどのように選び、どのような役割を担ったか、住民参加や住民提案についてヒアリングを行った。
・「参加住民意識ヒヤリング調査」
 八王子市、調布市、荒川区、新宿区、板橋区の5区市でバリアフリー基本構想策定および特定事業計画等において、協議会、推進委員会等へどのような住民がどのようにして選考され、関わり方など、20名より住民の意識等のヒアリング調査を実施した。
 
 今回の調査より見えてきたことは、合意形成の場としてすべてにおいてバリアフリー基本構想の協議会設置が行われていた。協議会において住民参加が良い計画を立てていく上で、障害をもつ住民からの「気づき」から生まれる問題を共有することが重要であるという認識が行政・事業者および住民双方に定着してきていることが伺わうことができた。
そして、バリアフリー基本構想の計画を進めていく上で、協議会だけでなく重点整備地区を決めるためのワークショップやまち歩き、また住民からのアンケート、パブリックコメントなど、また計画立案、施工実施、完成、完成後の評価の各プロセスに住民参加が実現されスパイラルアップが図られていくものとされるが、多くの区市で差こそあれ、基本構想策定過程で住民参加によるワークショップやまち歩き、また住民からのアンケート、パブリックコメントが行われてきていた。しかし、多様な人たちのニーズを共有するためにはより広く輸送サービス(ボランティア)、子育てグループといった様々な住民グループも参加させることが今後必要となっていくであろう。
 一方、事業計画での場面では、設計段階において住民参加を取り入れているところは半数強、施工段階になると更に住民参加を取り入れているところは少ない。設計段階から住民が参加し詳細な部分を話合い、更に施工の段階で確認する作業を行う事で、ミスなく使える設備を作ると共に、より使いやすい施設を造ることができるが、そこへの住民参加のハードルは高く事業者の理解が進んでいないと云える。また、評価・検証段階においても同様の傾向は著しく多くのところで住民参加は果たされてなく、事業者任せの管理体制になっているところが目立った。
 このような住民参加の全体状況に対して、住民側からは基本構想策定段階での住民参加について一定の評価はしているものの、事業計画や事後評価段階への住民参加が十分に果たされてないことが指摘されている。基本構想に基づきバリアフリー整備が進められてきているが、住民からは整備したにもかかわらず使いにくいといった不満の声の多いことからも伺い知れる。
 今後、住民の満足度を向上を進めていくにあたっては、検証・評価を行う場面で行政、事業者、住民の3者でしっかりと検証・評価を行っていける体制をつくっていくことが重要とされる。なお、スパイラルアップについては行政として8割以上のところで図っていくとのことで、計画、検証・評価において真に住民参加を実現できるよう事業者に対してもきちっと監視できるだけの体制が求められる。

 2年目の調査については、こうした東京都区市を中心にした調査を踏まえ、全国の基本構想を策定した区市町村280カ所にアンケート調査を、また、先進的に取り組んでいる数カ所をピックアップしヒヤリングを行い、住民参加の状況および意識について比較調査を行うことを計画している。

 

バリアフリー設備のご紹介

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