(研究目的)
近年、駅構内に触知案内板が増えているが、視覚障害者からは自宅で事前に触ることのできる冊子型触地図へのニーズが多い。しかし触地図の作成は、知識・経験・手間を必要とする大変な作業である。そこで、触地図作成作業の一部を画像処理技術を用いて自動化することことで作成時間を短縮し、これをもって視覚障害者の要望に応じて短時間で駅の触地図を作成・提供できる環境作りを目指す。
(研究手順)
(1)鉄道旅客会社のWebサイトにアクセスし、触地図の原図となる駅構内図の掲載数と画像の特性を調べた。
(2)画像処理ライブラリOpenCVを使って、駅構内図の画像から壁を抽出するプログラムを試作した。これを駅構内図へ適用して性能を調べた。
(3)ドロー系ソフトウェアの機能や価格を調査した。
(4)触地図に関する利用者アンケート調査を実施した。
(研究成果)
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(1)駅構内図のWebサイトへの掲載数、ファイル形式と投影法の種類を明らかにした。その結果、利用者数が多いと思われる駅はほぼ構内図画像を入手できることが分かった。会社ごとに構内図の特性は同じであるので、1度適切な画像処理方法が確立すれば、同じ会社の駅なら別の駅でも同じ手法で処理できる見込みが得られた。
(2)画像処理プログラムを試作した結果、同色検出とその直線抽出関数により、駅構内図の壁のみを自動的に抽出できる見込みを得た。しかし理想的な抽出結果を得るには、より適切な抽出アルゴリズムの考案とパラメータの適切な設定が必要であることが分かった。
(3)機能と価格の観点から、触地図を仕上げるのに適当と思われるドロー系ソフトウェアを選定した。
(4)触地図に関する利用者アンケート調査の結果から、冊子型触地図への要望を整理した。
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