バリアフリー推進事業

平成22年度ECOMO交通バリアフリー研究助成対象事業 中間報告

研究助成名

介助・介護を必要とする旅行者支援策の充実と支援組織の全国展開に関する基礎的研究 〜全国自治体及び旅行支援事業者を対象とした事例研究〜(252-5)

研究者名

社団法人北海道開発技術センター 地域政策研究所 原文宏

 

研究内容

●介助・介護を必要とする旅行者の既存研究事例の収集・整理
 観光地のバリアフリー化やユニバーサル・ツーリズムのニーズや重要性に関する調査は多くあるものの、介助・介護を必要とする旅行者支援の現状や課題についての調査研究事例は非常に少なく、引き続き事例収集を実施する必要がある。また、従前より幾つかの自治体で活発に活動している観光ボランティアやガイドヘルパー等の活動との関連にも注視する必要があり、より幅広い分野での研究事例を探す必要がある。

●居住地外給付に関する自治体の運用手法に関する自治体アンケート調査
[調査目的] 高齢者・障がい者の居住地外における給付利用実態の明確化
[調査対象] 北海道、東京都、大阪府、兵庫県、島根県の337自治体の高齢者対応窓口係と障がい者対応窓口係
[調査件数]高齢者対応窓口係:337自治体、障がい者対応窓口係:337自治体
※合計674の担当窓口係へアンケートを発送した、その内窓口を兼務している自治体が76件あったため、発送件数は598件となった。
[回収件数]高齢者対応窓口係:167件(回収率49%)、障がい者対応窓口係:186件(回収率55%)
[集計結果]
◆【高齢者】居住地外給付の要望があったのは、167自治体の内47自治体で全体の3割程度だった。居住地外給付を認めた件数は、要望のあった76件の内41件で、認められた主な要望は、「遠方の病院に行きたい」や「遠方に住む人に会いたい」、「仕事で遠方に行く」だった。要望が多かった「結婚式・葬式・墓参り・法事に行きたい」を、認めた自治体はなかった。
[結果概要]
・居住地外において公的サービス利用の要望は〔有:49件、無:117件〕だった。
・要望の内容として最も多かったのが「遠方の病院に行きたい」の25件で、次いで「結婚式・葬式・墓参り・法事に行きたい」が17件、「旅行に行きたい」は9件だった。
・要望を受け居住地外サービスを認めたのは49件中28件だった。
認められた主な要望は 「遠方に住む人に会いたい」で、要望があった3件すべて認められた。次いで、「遠方の病院に行きたい」(要望件数25件の内18件承認)だった。「旅行に行きたい」は9件中1件のみ認めた自治体があった。
◆【障がい者】居住地外給付の要望があったのは、167自治体の内108自治体で全体の6割程度だった。居住地外給付を認めた件数は、要望のあった218件の内187件で、認められた主な要望は、「遠方の病院に行きたい」や「旅行に行きたい」、「結婚式・葬式・墓参り・法事に行きたい」だった。
[結果概要]
・居住地外において公的サービス利用の要望〔有:108件、無:79件〕
・要望の内容として最も多かったのが「冠婚葬祭、法事に行きたい」の49件で、次いで「旅行に行きたい」の44件、「遠方の病院に行きたい」が38件だった。
・要望を受け居住地外サービスを認めたのは93件で、14件は認めなかった。
・認められた主な要望は「遠方の病院に行きたい」で、38件中35件が認められた。次いで「旅行に行きたい」の44件中35件が認められた。

●福祉サービス事業者・観光事業者の先進事例調査
[調査目的] 介助・介護を必要とする旅行者への支援事業を先進的に実施している団体に、現状の課題や経営上の課題を明らかにするヒヤリング調査を実施するにあたり、該当団体の事業体制や活動実績の概要をアンケート調査で把握、整理。
[調査対象] 介助・介護を必要とする旅行者への支援を実施している団体 (21団体)
[回収件数] 北海道、静岡県、三重県、兵庫県、島根県のNPO団体 計5団体から回答(回収率23.8%)
[結果概要]
・1990年代後半から2010年までに支援事業を開始。
・全ての団体で観光/宿泊施設のバリアフリー情報の提供や、同施設のバリアフリー調査、及びバリアフリーに関する啓発活動を実施している。
・構成員の最も多い団体では63名(役員含む)のスタッフを抱えており、最も少なかったのは3名であった。また、支援事業要員として活動しているスタッフの数は、各団体ともに4〜6名程度であった。支援事業要員の内、有資格者が最も多かった団体では5名のスタッフが4種類の資格を保有していた。障害をもつスタッフを有する団体(3団体)については、視覚障がい者、肢体不自由者、知的障がい者、精神障がい者が事業に従事している。
・2009年度の事業費で最も多かった団体は1億円以上で、最も少なかった団体では、500万〜1000万円未満であった。
・全ての団体で自治体や民間からの助成や協力を得ており、実質的に支援事業の主要スポンサーと位置付けられている。しかし、全ての団体で事業収益不足または運営資金不足といった課題を抱えている。
・今後は旅行時の介助者や介護者の要請や派遣を強化すべきと考える団体が多く、個別の旅行者に対する直接的な支援が重要視されている。
・最も深刻な課題として、活動の認知不足、事業収益の不足、構成員の不足が挙げられていた。
[今後の調査方針]

  ・回答いただいた5団体のうち、2〜3団体にヒヤリングを行い、それぞれの事業課題の解決に向けての意見等を伺い、今後の事業展開の方向性や必要とされているしくみ・体制等を検討する。

 

バリアフリー設備のご紹介

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