バリアフリー推進事業

平成22年度ECOMO交通バリアフリー研究助成対象事業 成果報告

研究助成名

利用者参加による交通システムの評価と、新しいコミュニティベースの交通システムの構築の可能性に関する基礎的研究 (252-4)

研究者名

茨城大学 山田稔

キーワード

福祉交通サービス

研究内容

(研究目的)
本研究は、交通システムが障害者・高齢者を含むすべての利用者に対し連続的かつ効果的に提供されているかを、バリアフリー化や、その補完的役割を担うSTS運行、およびそれらの連携状況に基づき評価する方法を構築するとともに、諸外国の社会的企業やNPO等の事例を参考に、日本型の「地域コミュニティを基盤とした福祉交通」を実現するための課題を明らかにすることが目的である。
(研究手順)
平成22年度には、既存の論文・報告に基づく評価視点の整理を行うとともに、ケーススタディ地区における有償運送事業者へのヒアリング調査を行った。さらに、セミナーの中で関係者・有識者からの意見聴取を行った。

平成23年度には、文献収集、ヒアリング調査の補足を行うとともに、取りまとめを行った。なお、当初予定していたケーススタディ地区の利用者に対する調査は、実施することができなかった。

(研究成果)
既存研究のレビュー、複数の事業者の詳細ヒアリングの組み合わせによって、従来ややもすると、福祉有償運送の法的な枠組みに捕らわれた議論になりがちであった利用者ニーズの考え方や供給システムのあり方に対して、幅広い視点で課題を抽出することができ、今後の新たなシステム構築を行う上で留意すべき事項、またこれまでのプロセスの反省点を整理することができた。
具体的には、都市部においては、利用者からみてより多様な選択肢を実現すること、そのために利用者と事業者との情報の流通という面でのセンター機能に、価値を見いだすことができた。一方、地方部においては、自助としてのマイカーの有効活用や、公共交通整備における車いすや介助付の手段への配慮の重要性が指摘された。

さらに、量的には現状でバランスが取れているように見えて、その多くは利用者自身の需要の潜在化による部分が少なくないことが懸念され、コミュニティベースのあらたな事業者の参入を促す場合においても、需要発掘を同時に担えるような主体による取組みが重要であることを示した。

 

バリアフリー設備のご紹介

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実績報告

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