バリアフリー推進事業

平成20年度ECOMO交通バリアフリー研究助成 対象事業 成果報告

研究助成名

まちのグッド アンド バッド プラクティス情報の共有・蓄積・継承によるクリエイティブ・コモンズの育成(248-5)

研究者名

明石高専建築学科 大塚 毅彦

研究内容

(研究目的)

本研究では、まちなかでの<移動>に関しての課題に焦点を当てて、様々なユーザーから、移動に関する様々なバリアの発見、バリアフリー、ユニバーサルデザインの「情報」の発掘を“クラウドソーシング”的な手法を用いて、情報の収集・蓄積そして提案を地域住民自らがその担い手となるべくその育成を目的としている。これには「Wisdom of Crowd」、いわゆる“群集の叡智”と呼ばれているネット上の手法を一部利用し、その可能性を検討する。 地域住民の関心の高い『安心・安全・快適』を大きなキーワードに掲げ、これらの「情報」を専門家・ユーザー・エキスパート,ヘルパーらが“影の支援”をおこない、「見える化」を行うことによって、市民が“気づき”、“共鳴”しあうような双方向のコミュニケーションの有り方を検討する。また、これらの“気づき”を具現化する解決策の提案を、その場で具体的に展示の効果を検討することも本研究の目的の1つである。 地域住民相互が<移動の課題>に関して、情報や知識をクロス・ファータライゼーションし、(Cross-fertilization)互いに“情報(肥料)”を共有しつつ影響をもたらしながら、個の理解力、分析力、判断力などを含めたユニバーサルな総合力を高め、コミュニティの集団知的水準を高めることが可能な自立システムが可能になると考えられる。 地域コミュニティとネットコミュニティの双方を活用して見える化をはかり、住民地域民相互が問題を共有・双方向にコミュニケーションしあい、ポジティブな解決策を自主的に提案できる可能性を検討する。

(研究手順) 研究対象は、神戸市に隣接する兵庫県明石市(人口29万人強)の小学校区単位をフィールドとして、以下の手順に従って研究を進めた。

(1)リアルなWS体験による共感・意識変容・共鳴行動に関する研究

(2)クラウドソーシング的手法を利用した“群集の叡智”の活用に関する研究

@ブログ活用によるまちのG&B・P情報の共有・蓄積実験

Aアナログ情報『人型看板』を活用した情報発信・収集およびUD啓発

BHPを活用した情報発信・収集

(3)駅舎における双方向コミュニケーション実験(気づきの展覧会)

(4)JR明石駅、JR魚住駅および駅周辺の<危険・バリア>および <良い事例(グッドプラクティス)>調査

(研究成果) 本研究は、住民らが主体となって地域の危険箇所を点検・調査し、それらを改善していくプロセスでユニバーサルデザインやバリアフリーの情報を視覚化することにより地域住民へと情報を発信し、情報を共有・蓄積・継承していくまちづくりのプロセスに住民が参画していくことが、時間がかかるが地道なユニバーサルデザインマインドを持ったクリエイティブコモンズを育成することにつながることが分かった。それらは必ずしもバリアフリーやユニバーサルデザインの専門知識を持たない市民や高校生もその担い手になりうることが分かった。現段階ではWEB媒体などのネットコミュニティを主に利用することについては、明石市魚住町地域においてはまだ難しい状況にあるが、従来の紙媒体などの 媒体を通じて情報発信していくことが今後重要になると思われる。

ps.研究代表者が所属するうおずみん・魚住東ユニバーサルデザインプロジェクトが、平成22年8月に兵庫県ユニバーサル社会づくり団体部門知事賞を受賞した。

 
キーワード ユニバーサルデザイン、気づき、見える化

 

バリアフリー設備のご紹介

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