バリアフリー推進事業

平成20年度ECOMO交通バリアフリー研究助成対象事業 中間報告

研究助成名

視覚障害者の歩行特性分析に基づいたバリアフリー移動支援方法の提案(248-2)

研究者名

上智大学理工学部 矢入 郁子

研究内容

具体的には、過去の被験者実験データの分岐点検知行動に着目して矢入らに提案された視覚障害者の歩行特性から3つの分類、(1)主検知手段が足である「足重視型」(間違いは多いが移動能力は高いタイプ)、(2)主検知手段が白杖で、分岐点の検知対象の9割以上が警告ブロックの有無である「杖重視型T」(間違いが少なく移動能力が高いタイプ)、(3)その他「杖重視型U」(間違いが多く、移動能力も低いタイプ)の妥当性の再検討を行った。その結果、10月下旬〜11月初旬にかけて、1.多様性が高く過去の実験では動向がつかみにくかった(3)杖重視型Uについてより詳細な分析を行うこと、2.人事採用やカウンセリングの分野などで実用性と妥当性の高さの点で評価されている心理テスト、エニアグラムを用いた内面的な分析を行うことを目的に、東京大学バリアフリー支援室と日本点字図書館の協力により10名のヒアリングを実施した。歩行特性の聞き取り結果と、心理テストの回答をベクトルとみなした被験者間の類似度行列に対し多次元尺度法を適用した分析結果から、A移動前の準備への執着−移動中の環境認識への執着、B一人での移動への執着−補助者との移動の執着、という2つの特徴的な説明軸の存在と、その説明軸によって移動能力・歩行特性が説明可能である可能性が示された。そこで、12月26日に(3)杖重視型に分類されそうな被験者6名に対して上智キャンパス内で被験者の空間認知特性の把握までも含む歩行実験を実施した。その結果、説明軸と移動能力・歩行特性から被験者を支援の齟齬の観点から3つに分類可能であることがわかった。今後は支援の齟齬に的を絞り、被験者実験ビデオ等の詳細な分析を通してこの仮説を完成し、次年度の新たな被験者実験を計画・実施したい。

なお、申請時には「全ての実験は東京大学バリアフリー支援室の協力を得て東京大学本学キャンパス内で実施される」と示したが、12月26日の実験の経験を通して、上智大学キャンパス内でも実験可能ことがわかった。今後とも全ての実験を上智大学で実施する方針に変更したいので、了承願いたい。

研究のフローチャートと現状での達成部分

 

バリアフリー設備のご紹介

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