バリアフリー推進勉強会

当財団では、移動円滑化に関する新しいテーマや課題について、関心のある方々と情報共有し改善の方向性を考えることを目的とした交通バリアフリーに関するワークショップを月に1回開催しています。

第10回バリアフリー推進勉強会開催結果概要

東日本大震災と被災地の障害者

《第1部》ドキュメンタリー映画「逃げ遅れる人々〜東日本大震災と障害者〜」上映会
《第2部》被災地の障害当事者による講演

開催日
2014年2月14日(金曜日) 18:00〜20:40
開催場所
日本大学理工学部駿河台校舎 1号館131号室
参加者数
19名
講師
JDF被災地障がい者支援センターふくしま スタッフ 設楽俊司氏
みやぎ盲ろう児・者友の会 会員 小山賢一氏

講演概要

東日本大震災がもたらした居住地の被害状況、障害当事者の避難生活、またそこから見えてきた課題および教訓、今後の公共交通やまちづくり等への提言や思い等についてお話いただきました。

1人目の設楽氏(電動車椅子使用者)からは、「避難所での障害者の状況」として、一般避難所では障害者の避難生活を想定していなく、様々な理由により避難生活ができなかった。そのことを踏まえると「避難所のあり方」として、避難所は公共施設であることからユニバーサルデザイン化する必要がある。また、避難所となる学校では、インクルーシブ教育の推進を図り、日頃からバリアフリー化した施設整備を行うことが必要ではないか。一方、福祉避難所としてホテルや障害者個人宅等を積極的に活用すべきではないか。ただし、すべての障害者ではなく医療的なケアが必要な場合のみを対象とすべきだと提言されました。

さらに、福島特有の原発(放射能)の問題として、労働者人口の県外流失等による福祉従事者の確保が大きな課題となっている。また、将来的に福島県出身等で差別や人権問題が発生することも考えられ、その擁護活動が必要になるのではと提言されました。   最後に、震災前の状況に戻すという復興ではなく、誰もが使いやすいまちに創り変えていく必要があるのではないかとまとめられました。

2人目の小山氏(弱視・難聴の盲ろう者)からは、地震発生時、避難時、津波の到達時、避難所の生活についての状況や心情のお話があり、その後障害当事者にとって避難所の生活で困難なこと、救われたことについてお話いただきました。

特に、避難生活における盲ろう者は、視覚障害の困難を1、聴覚障害の困難を1とした場合、重複だから合わせて2となりそうだが、実際には2どころか100になってしまうような困難もある。 一方、移動環境として、地方都市での課題となっている公共交通機関があまり機能していないことが挙げられた。障害者の自立生活を行うためにも、利用できる公共交通機関の再構築が必要である。 最後に、参加者に対し身近にいる障害者を気にかけてほしいと話され、また日頃から関わる機会を持ってほしいとまとめられました。

当日の配布資料及び質疑応答