バリアフリー推進勉強会

当財団では、移動円滑化に関する新しいテーマや課題について、関心のある方々と情報共有し改善の方向性を考えることを目的とした交通バリアフリーに関するワークショップを月に1回開催しています。

第9回バリアフリー推進勉強会開催結果概要

日本のバリアフリーは世界の非常識? 〜日本と海外のバリアフリーを比較して〜

開催日
2013年12月13日(金曜日) 18:00〜20:00
開催場所
TKP市ヶ谷カンファレンスセンター カンファレンス7D
参加者数
43名
講師
木島英登バリアフリー研究所 代表 木島英登氏

講演概要

勉強会の様子

これまでの海外旅行の経験を基に各国での交通バリアフリー、合理的配慮の考え方、車椅子使用者のスポーツ観戦について話題提供いただきました。

海外における交通機関のバリアフリー化について、@鉄道、メトロ等における問題として、車両とホームの段差解消対策、駅員の接遇・介助、切符の予約方法、無人駅の対応、車両内の車椅子スペース等が提示された。Aバス、BRTにおける問題として、車両の大きさ、車椅子の固定等が提示された。B航空機、旅客船における問題として、搭乗(乗船)口へのアクセスが階段のみの乗降設備であるため乗降できない等が提示された。それぞれの解決の糸口として、@については、車両にスロープを設置すること、障害当事者がスロープを準備し、周りの人がサポートする環境の構築すること、車両に合わせて部分的に床上げをしてスロープ状にする工事などが考えられる。Aについては、車両自体を大きくすること、車椅子側で固定器具を設置することなどが考えられる。Bについては、乗降設備をスロープにすることなどが考えられる。

また、運賃の問題として、障害者割引を実施することで交通事業者の免罪符となってしまっているのではないかということが提示された。さらに、道路環境の問題として、海外では歩行者優先で設計されていることが多いが、日本では車優先で設計されるため、歩道側でバリアフリー化しなくてはならないということが提示された。

勉強会の様子

合理的配慮については、要望を3つの区分(絶対に必要なこと、できれば必要なこと、あればうれしいこと)で考えることが必要であると指摘された。特に重要なことは、「使いやすい」と「使えない」は、全く違うことであり、まずは「使えない」から失くしていくことが先決である。例えば、飛行機に搭乗できないこと、駅のエレベーターが利用できないことなどに取り組むことが必要である。

さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにあたり、スポーツ観戦における取組みとして、海外の事例(野球のMBL、バスケットのNBL、サッカーのプレミアリーグ、ラグビーのW杯等)、日本の事例(野球の甲子園・東京ドーム・札幌ドーム、サッカーの浦和レッズ・ガンバ大阪・2002年日韓W杯)、チケット販売の事例などを紹介していただき、車椅子スペースや多機能トイレ等の設備や動線の問題、チケットの予約方法や割引などの問題があることが提示された。

当日の配布資料及び質疑応答